石川温(いしかわ・つつむ) ジャーナリスト
1975年生まれ。中央大学商学部卒業後、98年、日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社。月刊誌『日経TRENDY』の編集記者として通信、自動車、ホテル、ヒット商品などを取材。2003年に独立後、携帯電話、スマートフォン業界を幅広く取材。近著に『スティーブ・ジョブズ 奇跡のスマホ戦略』がある。有料メルマガ『スマホ業界新聞』を配信中。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
秋にも見込まれる法整備の前に、かき入れ時の販売代理店が独自のキャンペーン
街中のケータイショップで「一括0円」や「9万円引き」といった看板が目立つようになった。
通信業界にとって、この時期は1年の中で最もかき入れ時だ。進学や進級などで、子どもがスマホデビューするタイミングであり、家族揃ってケータイショップに訪れて、新規契約や機種変更をしていくのだ。
他社で契約しているユーザーを奪おうと、MNP(ナンバーポータビリティ)を利用して新規契約してくれるユーザーに対して「一括0円」「9万円引き」といった破格の条件でスマホを販売しているのだ。
ただ、ここ数年、総務省の意向もあって、スマホの契約において、多額のキャッシュバックや一括0円での販売は規制が入ったとされている。では、なぜ、いま街中に「一括0円」が溢れているのだろうか。
ひとつには、総務省の規制はキャリアに対して実施されているものであり、ショップを運営する販売代理店には規制が及んでいない。そのため、一括0円のポスターをよく見ると、どの店舗でも「当店独自キャンペーン」という文言が必ず記載されている。つまり、「キャリアからの指示ではなく、店舗が独自にやっているキャンペーンなので、規制の対象外ですよ」と暗にアピールしているのだ。
総務省ではこうした「抜け穴」を防ごうと、今後は、そうした規制を販売代理店にも適用させようと動いている。さらに、販売代理店を「届出制」にすることで、総務省からの監視を強化しようとしているのだ。この規制は今、国会で提出され、今秋には法整備される見込みだ。