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壊れゆくAV女優というセーフティネット(上)

出演強要騒動から3年が経ちAVはどう変わったか、高級デリヘルの台頭とAV女優たち

杉浦由美子 ノンフィクションライター

拡大AV出演強要被害を語る女性会社員=2017年3月、東京都内
 2016年にAV出演強要問題が取りざたされ、過剰に注目されたが、さて、その後、AV業界はどうなっているのだろうか。

 あの問題が最初に報道された頃に、AV関係者が「AVは女性にとってセーフティネットになる」とコメントしているのを見た。そうなのである。AVが他のコンテンツビジネスと大きな違いがあるとしたら、女性たちのセーフティネットとして機能してきた点だ。貧困にあえぐ女性がそこから抜け出すツールとしてセックスワークはあり、その中でも身の安全が保証される職業がAV女優だった。

 このセーフティネットとしての、AV女優という職業が崩壊しつつある。今でもAVは存在するし、最近はVR(バーチャルリアリティ)のアダルトビデオが成長を遂げている。常に出演する女性を求めているわけで、AV女優という仕事はなくなりはしない。また、最近では、セクシー女優という名前でテレビに出たり、本を出版したりと活躍するケースも増えている。

 しかし、なぜ、AVは女性にとってセーフティネットでなくなりつつあるのか。

1回30万円のデリヘルを呼ぶと、AV女優がやってくる

 さて、AV女優という職業の人たちと接したことがないと、いとも簡単にセックスをする人たちに思えるだろう。しかし、実際は違う。AVの中で描かれるものはフィクションである。「中出しファック」というタイトルの作品が多数あるが、実際にはコンドームを使用している。AV女優たちはあくまでも演者なのだ。

 ところがだ。この数年でAV女優が風俗で働くことが増えてきた。かつてよりAV女優がソープランドで働くことはあったが、そこにくるのはAVマニアの人たちだった。ところが現在は風俗の世界でAV女優はひとつのステイタスになっている。

 2000年代までは、最も稼げる風俗のジャンルはソープランドだった。ホストクラブでも一番お金を落とすのはソープランドの女性たちだった。このソープランドが現在苦戦している。 ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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