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長周期地震動対策の進展

 地震の規模が大きくなると、周期の長い地震波が長時間放出される。長周期の波は遠くまで伝わりやすく、大都市が立地する大規模平野ではその揺れが増幅・伸長する。一方、大都市には、長周期で揺れやすい高層ビルが林立している。このため、震源から遠く離れた東京や大阪で、高層ビルが大きく揺れた。中でも震源から700㎞も離れた大阪湾岸に建つ高さ256mの超高層ビルでは3m弱の揺れを観測した。

 震災後、内閣府の「南海トラフでの巨大地震モデル検討会」で、南海トラフ地震に対する長周期地震動が検討され、2015年12月に「南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動に関する報告」がまとめられた。さらに、国土交通省は、2016年6月に「超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動への対策について」を通知し、関東地域、静岡地域、中京地域及び大阪地域の対象地域内において、新築する超高層建築物等の大臣認定の運用を強化し、超高層建物の耐震安全性を向上させることにした。

 一方、2016年に発生した熊本地震では、震源近傍で数mもの変位が生じた長周期パルスが観測され、長周期長時間地震動に加え、長周期パルスに対する対策の必要性が明らかとなった。こういった中、東洋ゴムの免震ゴムや、KYBのオイルダンパーのデータ不正の問題が露呈するなど、残念な事態が発生し、長周期地震動対策が遅滞することが懸念される。

進まない液状化対策

 東北地方太平洋沖地震では、震源に近い場所に加え、茨城県の利根川下流域や、千葉県の東京湾岸地域で広域に液状化した。震源に近い沿岸部では、液状化によって杭の引き抜き抵抗力を喪失し、津波で転倒した杭基礎の鉄筋コンクリート建物もあった。旧河道や埋立地での液状化は甚大かつ広域であり、とくに千葉県浦安市では ・・・ログインして読む
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筆者

福和伸夫

福和伸夫(ふくわ・のぶお) 名古屋大学減災連携研究センター長・教授

1957年に名古屋に生まれ、81年に名古屋大学大学院を修了した後、10年間、民間建設会社にて耐震研究に従事、その後、名古屋大学に異動し、工学部助教授、同先端技術共同研究センター教授、環境学研究科教授を経て、2012年より現職。建築耐震工学や地震工学に関する教育・研究の傍ら、減災活動を実践している。とくに、南海トラフ地震などの巨大災害の軽減のため、地域の産・官・学・民がホンキになり、その総力を結集することで災害を克服するよう、減災連携研究センターの設立、減災館の建設、あいち・なごや強靭化共創センターの創設などに力を注いでいる。

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