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依存症を考えない小中学校へのスマホ持ち込み解禁

災害時の活用は5年に一度くらいだが、スマホ依存症の子どもは2割いる計算

和田秀樹 精神科医

拡大スマホの使い方の出前授業で、アプリに登録する写真を撮る中学校の男子生徒=2014年、岡山県総社市
 2009年に、文部科学省が教育活動に直接必要ではないとして学校への持ち込みを原則禁止する通知を出していたスマホや携帯電話について、2月18日に、大阪府は、災害時の対応などを考慮して持ち込みを認める案を公表した。

 これに対して、柴山昌彦文部科学相は19日の会見で、携帯電話やスマートフォンについて「小中学校は持ち込みを原則禁止」「高校は校内での使用を禁止」という指針を見直す方針を明らかにした。2018年6月の大阪北部地震が登校時に起き、子どもの安否確認に手間取った保護者から不安の声が上がり、それを受けての対応だという。

 実際、巨大な自然災害が起こった際に、その安否確認やGPS信号を通じての位置確認など、スマホや携帯電話には非常に役立つことは多い。多くの親御さんがそれによって、安心を得ることはできる。

 しかし、そこに重要な視点が最低二つ欠落している。ほかの危険性との確率の比較と、スマホと携帯電話の混同である。

 子どもの安否確認が必要なレベルの大規模災害というのは多く見積もっても5年に一度くらいだろうし、それができなかったという理由で、子どもが死亡なり負傷するというリスクは絶対ないとは言えないが、大きなものとは言えない。

 小学生や中学生の時点で、自分用のスマホをもつということが引き起こす別のリスクがある。それが依存症である。

 厚生労働省の研究班による2012年度の調査では、インターネット依存症の疑いがある中高生は52万人と推計された。それが17年度の調査では、93万人と約倍増し、中高生の14%に当たると推定されている。

 インターネット依存症というのは、インターネットやオンラインゲーム、SNSなどを使い過ぎる状態で、日常生活に支障が出る。暴力や引きこもり、うつ病などの合併症や脳の障害を引き起こす恐れもある恐ろしい病気だ。なぜこれがたった5年間で倍増したかというと、スマホの普及が原因であることは言を俟(ま)たないと言っていいだろう。

 12年の13-19歳のスマホ普及率は50.6%、17年は79.5%。スマホの普及率が6割増えたのに対して、インターネット依存症は8割増えている勘定だ。スマホを持つ子供の約2割が依存症になってしまっている計算であり、普及率以上に依存症が増えているのは、同じ高校生でも、12年と比べて17年のほうが長期間にわたってスマホを持ち続けている子供が多いからだろう。 ・・・ログインして読む
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筆者

和田秀樹

和田秀樹(わだ・ひでき) 精神科医

1960年、大阪市生まれ。東大医学部卒。現在、国際医療福祉大教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長、川崎幸病院精神科顧問、緑鐵受験指導ゼミナール監修。専攻分野の老年精神医学、精神分析学のほか、大学受験を中心とした教育制度・政策、自ら監督をつとめたことがある映画についての発言も多い。著書に『感情的にならない本』『心と向き合う臨床心理学』など。

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