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大学スポーツの新たな枠組み「ユニバス」の可能性

大学スポーツの統合で利益を共有し配分する日本版NCAA

増島みどり スポーツライター

 10日、11日は日本スポーツ界の歴史を塗り替えるビッグニュースが次々と届き、めまぐるしくも、日本選手の存在感を世界に強く示す日となった。

 先ずは日本時間10日、米国ソルトレークシティーで行われたスピードスケートW杯で、昨年のピョンチャン五輪金メダリスト(パシュート)の高木美帆(24=日体大助手)が1500メートルに出場し1分49秒83と、女子初の49秒台となる世界新記録を樹立して優勝を果たした。

 また同大会男子500メートルでも、新エースとして期待を集める新浜立也(しんはま・たつや、22=高崎健康福祉大)が33秒83の世界新記録をマーク。その後ロシアのクリズニコフが33秒61と、新浜の世界新をさらに更新したため2位となったが、身長183センチの大型選手が加藤条治が持っていた日本記録34秒21を大幅に更新して初の33秒台を刻んで見せた。

 スキージャンプ発祥の地・ノルウェーで「聖地」と呼ばれるホルメンコーレンジャンプ台では、小林陵侑(こばやし・りょうゆう、22=土屋ホーム)がW杯23戦で5位に入り、W杯を5戦残してこの種目、日本勢初となる総合優勝を果たした。昨年までW杯未勝利、ピョンチャン五輪も個人ノーマルヒルで7位の小林は今季だけで11勝をあげ、年末の伝統のジャンプ週間も4勝と史上3人目の完全制覇。わずか半年ほどで世界の頂きに君臨する王者となった。

 さらに、世界選手権よりも五輪よりも長い伝統を誇るバドミントンの全英オープンでも、現在世界ランキング1位の桃田賢斗(24=NTT東日本)が、男子シングルスで初優勝を成し遂げる。かつて日本人アスリートたちにとって大きな壁であり「夢」であった記録、タイトルが一気にもたらされた。

 こうした中、タイトルや記録に直結していなかったために扱いは大きくなかったが、とてつもない潜在能力を秘めた2人の大学生の存在感も忘れてはならないだろう。日本のスポーツ界にとって、これまでにはなかった新たな活躍の場所ともいえる全米大学運動協会(NCAA、本部インディアナポリス)に属する2人の大躍進は、日本国内よりもむしろ全米各地で大きく報じられている。

 ゴンザガ大(ワシントン州)バスケットボールのエース、八村塁(はちむら・るい、21=富山出身)と、フロリダ大の陸上、サニブラウン・ハキーム(20)である。

日本人留学生アスリートの活躍

バスケットボールW杯2次予選のイラン戦第4クオーター、ダンクシュートを決める八村塁=2019年9月17日、東京都大田区総合体育館
 身長204センチでベナン人の父を持つ八村はレギュラーシーズンを制し、1試合で平均20.6点をあげてウエストコーストカンファレンスの年間MVPを獲得。NBAスカウト陣の熱視線を浴び、先週はさらに「ジョン・ウッデン賞」の候補15人に最終ノミネートされた。昨年6月には韓国との親善試合で日本代表にデビューし、東京五輪出場枠のために絶対条件、とされた日本代表をW杯予選4連敗の泥沼から引き上げた救世主の1人である。

 仙台の明成高校からゴンザガ大に留学した八村は、「学業との両立は簡単ではなかったけれど、今は子どもの頃からの夢だったNBAに行けること、東京オリンピック出場を目指して練習を積んでいる」と話す。大学には八村のファンクラブもあり、多くの学生が声援を送る。

 ガーナ人を父に持つサニブラウンは9日、アラバマ州で行われた全米室内選手権60メートルに登場。予選で6秒54をマークして日本記録タイに並び、決勝は6秒55で3位だった。

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