メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

グレイヘア礼賛が醸すバブリーフェミニズム(上)

髪を染めずに白髪を活かす“グレイヘア”ブームになぜ女性たちは反発するのか

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 昨年の流行語大賞にノミネートされた「グレイヘア」をご存じだろうか。白髪を染めないで、灰色の髪を活かしたヘアスタイルをさす。2016年に『パリマダム グレイヘア スタイル』(主婦の友社)が発売され、シリーズ累計13万部を発行している。そして、去年ぐらいからフリーアナウンサーの近藤サトがグレイヘアでメディアに露出し出したことから、彼女をアイコンとして、グレイヘアをメディアで礼賛しはじめた。

 ところがこのグレイヘアブームへの疑問や違和感が、女性たちの間で起きている。今回はこのグレイヘアがなぜ礼賛され、そして、反発されるのかについて考えたい。

美魔女ブームへのアンチテーゼ

 『グレイヘアスタイル』シリーズを出している主婦の友社は伝統ある実用書の版元であり、料理本や裁縫などのロングセラーが無数に存在する。また、ヘアカタログの会社でもある。その一環として、髪を染めずにお洒落にするための実用書として読者にグレイヘアに関する情報を提供した。髪を染めるのは地肌に負担がかかる。染めずに済めばいいと考える女性は沢山いて、そこに向けて情報提供している。ところが近藤サト(50)がグレイヘアの代表格として、メディアに登場してきたことから、白髪にはイデオロギーが絡み始めた。

 近藤サトは朝日新聞デジタルのインタビューの中で、「老いは忌むべきものだというのがある。不思議ですよね」「老人の皺の美しさといいながらもやはり賛美するのは表面上の美しさだったり」と既存の“若い方がいい”という価値観に疑問を呈している。

 ようは、2010年から始まった“美魔女ブームへのアンチテーゼ”としてのグレイヘアなのだ。美魔女とは、40代向けの美容雑誌『美ST』の読者モデルたちで、35歳をすぎても魔法をかけたように若々しく美しい女性をさす。ある人気作家はエッセイの中で美魔女を「過剰な若作り」と表現していた。そして、この過剰さが美魔女の面白さなのだ。 ・・・ログインして読む
(残り:約799文字/本文:約1635文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

杉浦由美子の記事

もっと見る