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グレイヘア礼賛が醸すバブリーフェミニズム(下)

「髪を染めないのは自立した新しい女の生き方」という時代遅れ感が嫌われる要因か

杉浦由美子 ノンフィクションライター

拡大「グレイヘア」として話題を集めたフリーアナウンサーの近藤サトさん=2018年9月5日、東京都中央区
 2018年流行語大賞にもノミネートされた「グレイヘア」。白髪を染めずに、灰色の髪を活かすヘアスタイルのことだ。これが女性の間で賛否両論となっている。このグレイヘアの象徴となっているのは、フリーアナウンサーの近藤サト。彼女は4月にエッセイ集『近藤サトのグレイヘアライフ』(SBクリエイティブ)を発売するが、この本の内容紹介では「近藤サトさんの白髪を染めないという決断をとおして、『脱・美魔女』の新しい生き方を提案」とある。このメッセージ性が反発される原因だろう。

 グレイヘアを礼賛するメディア関係者たちは、「グレイヘアに対する反発は、日本の女性はまだまだ自立できないから起きるのだ」とミスリードしているのではないだろうか。しかし、自立できていないのは、グレイヘア礼賛者たちではないのだろうか。

なぜ老けて見えることを嫌ってはいけないのか

 グレイヘア礼賛は、前回の記事で書いたように、美魔女ブームへのアンチテーゼである。美魔女たちの過剰な若作りは確かに少し下品かもしれない。だが、それを分かっていてやっているのが面白いのだ。

 10年ぐらい前だろうか。コミックエッセイの若い女性著者が「東京には35歳をすぎると年をとらなくなる女性が沢山いて、私は彼女たちを妖怪と呼んでいる」と楽しそうに話していた。成熟を拒否し、いつまでもアラサーのような外見でいようとする女性たち。グロテスクで面白いではないか。一方で、グレイヘアブームは、そういういつまでも若くありたいという女性の願望を否定したがるのはなぜか。 ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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