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スポーツ界に求められる意識改革

役員の定年制、在任期間の制限などのガバナンスコードの策定が進む

潮智史 朝日新聞編集委員

 ここ数年来、スポーツ界では不祥事が相次いでいる。昨年だけでも、レスリングと体操のパワーハラスメント問題や日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル問題など、多くの関心を集めた。

競技団体の運営指針となる「ガバナンスコード」を議論するスポーツ庁の検討部会=2019年3月7日、東京都内の文部科学省
 これらを受けて、スポーツの中央競技団体(NF)の運営や活動の指標づくりがスポーツ庁を中心に進められている。

 「ガバナンス(組織統治)コード」と呼ばれるもので、役員の定年制、在任期間の制限、コンプライアンス委員会の設置などの原則を明示する。いわばスポーツ界に一律に当てはめられるルールだ。

 先進例として参考にされる英国のコードでは、守れない場合には説明責任を求め、さらに助成金を減額するケースもあるという。だから、コード案を巡るスポーツ界の反応は鈍く、後ろ向きに映る。

 現在、コードづくりはスポーツ庁の審議会内にできたインテグリティー部会で進められている。

 学者、弁護士、元選手らのほか、スポーツ界からは日本オリンピック委員会(JOC)、日本スポーツ協会(旧日本体育協会)などの代表が集まり、議論を重ねている。まとめられたコード案は6月には答申される予定という。

 部会での議論が活発になったのは、具体的案が示されてからだ。たとえば、「役員の定年は70歳」「在任期間は10年まで」という数字が、スポーツ庁から初めて示されると、スポーツ界側からは「NFによっては対応しきれない」「実情に合っていない」などと反対意見が相次いだ。確かに、コードに盛り込まれる内容は事細かい。

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