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薄利多売のAKB商法で誰が儲けているのか(上)

乃木坂46の写真集は値段の安さと肌の露出の多さで大ヒットだが、出版社にはリスク

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 新潟を拠点に活動するアイドルグループNGTの山口真帆(23)への暴行事件で、AKB48商法への批判が高まっている。

 一記者として私は何年も前から「AKB商法で誰が得をしているのか?」と疑問に思っていた。徹底した薄利多売なので、そうは儲かってないようにみえるからだ。

 たとえば、ベストセラーとして話題になる写真集やカレンダーである。2018年発売の『乃木坂46写真集 乃木撮 VOL.01』(講談社)は現在33万部を売り上げている。写真集史上歴代1位の売り上げだそうだ。個々のメンバーの写真集も売れており、メディアでも大きく取り上げられた。『白石麻衣写真集 パスポート』(講談社)は、この3月15日発表のオリコン週間BOOKランキングで累計売上部数32万2280部としている。

 こう書くと、非常に景気がよく思えるだろう。しかし、出版業界関係者なら、乃木坂48の写真集をみて、首をかしげるだろう。単価が安すぎるのだ。

低価格すぎる写真集のリスク

 ある大手出版社の社員はいう。優秀な編集者でベストセラーも出している。

 「自分は絶対にAKB関係には関わりたくないですね。そう考えている編集者は多いでしょう。とにかく薄利多売のビジネスを要求されるからです。初版を多くして、単価を下げないといけない。写真集はカラーページが多いから印刷コストがかかります。非常にリスキーなビジネスですよ」

 この人物は「AKB48のカレンダーは10万部売ってようやく利益が出るビジネスモデル」だともいう。カレンダーだけではなく、写真集も相当売らないと利益が出ない。乃木坂46関連の写真集がいかに安いかを他の女性タレントの写真集と比較して説明しよう。

 写真集業界で長年人気を誇るのが女優の深田恭子だ。ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)でもラブコメのヒロインを演じ、大好評だった。彼女のグラマラスで清潔感がある容貌は、男女問わず憧れの対象である。そのため、深田恭子の写真集は女優の中でもトップクラスの売れ行きを誇る。去年、彼女の20冊目の写真集『深田恭子写真集 Blue Palpitations』(講談社)が発売された。他の女性タレントの写真集よりずっと初版は多いはずで、実際、ベストセラーランキングにも入っている。

拡大写真集がベストセラーになった乃木坂46の白石麻衣=2013年12月、東京都目黒区
 それでも、160ページで税込2916円である。一方、先に紹介した『白石麻衣写真集 パスポート』は144ページで税込1944円だ。深田恭子の写真集より1000円ほど安い。 ・・・ログインして読む
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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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