メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

拡大南海トラフ地震などの大規模災害を想定した防災訓練でAIが分析した「被災情報」をパソコンで確認する静岡県下田市職員ら=2019年1月28日

ペアで起きてきた南海トラフ地震

 南海トラフ沿いの震源域では、過去に繰り返し地震が起こってきた。過去3回の地震では、1944年東南海地震の2年後に南海地震が、1854年安政東海地震の32時間後に南海地震が発生し、1707年宝永地震ではすべての震源域がほぼ同時に破壊した。このため、震源域の約半分で地震が発生した場合、「半割れ」の被災地では甚大な被害が発生する一方、残りの震源域ではいずれ発生する地震に対し切迫した状況になると考えられる。

 一方、2011年東北地方太平洋沖地震では、2日前にM7.3の前震が発生しており、M7クラスの地震が震源域内で発生したり、東海地震の直前予知の前提としていた異常なすべりが観測されたりすれば、地震発生の可能性が高まったと判断される可能性がある。

命を守りつつ生業を続ける

 現状の科学の力では、南海トラフ地震の発生を高い確度で予測するのは困難である。一方で、観測網の充実で、震源域での異常な現象が観測されやすくなっているため、通常よりも地震発生可能性が高まっているとの情報は提示されやすい。そこで、この情報を最大限活用し、的確な防災行動を行うことで、いつ起きるか分からない地震に対し、日常生活・企業活動への影響を減らしつつ命を守る方策が必要となる。

防災対応検討ガイドライン

 3月29日に内閣府(防災担当)から「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン【第1版】」が公表された。これは、昨年12月に、中央防災会議の作業部会「南海トラフ沿いの異常な現象への防災対応ワーキンググループ」がとりまとめた方針を具体的に記した手順書であり、今後、地方自治体や企業が防災計画を策定する際に参考にできる。タイトルに第1版と明記されているように、徐々に改善していこうとする意欲が感じられる点は評価できる。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
Journalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

福和伸夫

福和伸夫(ふくわ・のぶお) 名古屋大学減災連携研究センター長・教授

1957年に名古屋に生まれ、81年に名古屋大学大学院を修了した後、10年間、民間建設会社にて耐震研究に従事、その後、名古屋大学に異動し、工学部助教授、同先端技術共同研究センター教授、環境学研究科教授を経て、2012年より現職。建築耐震工学や地震工学に関する教育・研究の傍ら、減災活動を実践している。とくに、南海トラフ地震などの巨大災害の軽減のため、地域の産・官・学・民がホンキになり、その総力を結集することで災害を克服するよう、減災連携研究センターの設立、減災館の建設、あいち・なごや強靭化共創センターの創設などに力を注いでいる。

福和伸夫の記事

もっと見る