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ガイドラインの策定目的

 ガイドラインには、「南海トラフ地震関連臨時情報」が発表された場合に「南海トラフ地震防災対策推進地域」にある地方公共団体、指定公共機関、特定の企業等が、「実施すべき防災対応について、検討の際に参考とすべき事項」がまとめられている。本来、地震対策の基本は、突発的な地震発生に備えることにあるのは当然だが、不確かな情報ではあるものの、臨時情報が発表されたときに、通常より警戒レベルを高めることなどで、少しでも被害を減らすことを目指している。今月から対象自治体への説明を始め、自治体や企業は今年度末をめどに、ガイドラインを踏まえた防災計画の見直しを図り、来年度のしかるべき時期から運用を開始する。

 ガイドラインは3編で構成されており、第1編「共通編」には、臨時情報の位置づけや情報発表時の基本的な対応の考え方や、国が発表する情報の流れが記述されている。第2編「住民編」には、地方公共団体が住民の避難対応などについて検討する手順等が記述されている。 第3編「企業編」には、指定公共機関、特定企業等の検討手順等が記述されている。この企業編については、一般の企業等でも、防災対応の検討に活用されることが望まれる。今後、このガイドラインを参考に、被災都府県でも市町村・企業・住民向けにより具体的なガイドラインなどが作られていくと見込まれる。

「防災対策推進地域」と「津波避難対策特別強化地域」

 南海トラフ地震対策は、「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」(南海トラフ特措法)等に基づき、最大規模の地震・津波が突発的に発生することを想定して、ハード対策とソフト対策を組み合わせて行われている。この法律で定められているのが南海トラフ地震防災対策推進地域(推進地域)と南海トラフ地震津波避難対策特別強化地域(特別強化地域)である。推進地域は、最大クラスの南海トラフ地震が発生した時に、震度6弱以上になる地域と津波高3m以上で海岸堤防が低い地域が対象となっている。また、特別強化地域は、30cm以上の浸水が地震発生後30分以内に生じる地域が対象になっている。

 南海トラフ特措法に基づいて、中央防災会議は「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」(基本計画)を、指定行政機関や指定公共機関、推進地域内の都府県及び市町村防災会議は「南海トラフ地震防災対策推進計画」(推進計画)を、特別強化地域内の市町村長は「津波避難対策緊急事業計画」を、病院、劇場、百貨店、旅館等不特定多数の者が利用する施設などの管理者・運営者などは「南海トラフ地震防災対策計画」(対策計画)を策定することが義務付けられている。

「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」と「南海トラフ地震に関連する情報」

 一昨年、中央防災会議の作業部会「南海トラフ沿いの地震観測・評価に基づく防災対応検討ワーキンググループ」が、大規模地震対策特別措置法(大震法)が前提としていた直前予知について、「警戒宣言が前提とする確度の高い予測は困難」と判断した。これを受け、一昨年の11月より、気象庁が「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」(評価検討会)を設置し、「南海トラフ地震に関連する情報」を発表することになった。情報には、「臨時」と「定例」があり、「臨時」情報は南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合などに発表される。これに伴い、直前予知を前提にした警戒宣言発令は事実上凍結された。

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筆者

福和伸夫

福和伸夫(ふくわ・のぶお) 名古屋大学減災連携研究センター長・教授

1957年に名古屋に生まれ、81年に名古屋大学大学院を修了した後、10年間、民間建設会社にて耐震研究に従事、その後、名古屋大学に異動し、工学部助教授、同先端技術共同研究センター教授、環境学研究科教授を経て、2012年より現職。建築耐震工学や地震工学に関する教育・研究の傍ら、減災活動を実践している。とくに、南海トラフ地震などの巨大災害の軽減のため、地域の産・官・学・民がホンキになり、その総力を結集することで災害を克服するよう、減災連携研究センターの設立、減災館の建設、あいち・なごや強靭化共創センターの創設などに力を注いでいる。

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