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4K8K五輪で煽っても、テレビはもう買われない

「減らす、持たない、スマホで十分」の傾向は止まらない

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

拡大東芝映像ソリューションの4Kテレビ

 2018年12月から、テレビの4K、8K放送がスタートした。このテレビ局側の宣伝効果もあってか、テレビの国内出荷台数は2019年1月で前年同月比8%増、うち4K対応テレビは35%増となった(電子情報技術産業協会(JEITA)調べ)。

テレビの出荷台数はピーク時から半減で推移

 テレビとは元来、故障や家族構成の変化を機に、上位機種へ10年に一度買い替えられる性質の商品である。かつては毎年約1,000万台売れ、約5,000万の日本の全世帯で2台以上が保有されていたが、2011年7月に実施した地上波アナログ停波に備えて、やむを得ず日本中で一気に買い替えた経緯がある。その結果、2012年以降はそれまでの出荷台数から半減したまま推移している(資料1)。もちろん外国製品の輸入も増え、日本製品自体もほとんど全部が海外生産での輸入品となったが、上記JEITAの「国内出荷台数」にカウントされていないのは小売店独自ブランド製品(アジア各国でのOEM生産)程度であり、数量は把握されていないが少数と位置付けてよい。

拡大資料1:テレビの国内出荷台数推移(出典:電子情報技術産業協会(JEITA)民生用電子機器国内出荷統計より筆者作成)

 その地デジ化の際に買った機器の買い替えがそろそろ来る、ちょうどいい具合に東京オリンピック・パラリンピックも来る、ハイブリッドキャストも4K8K放送もその前に始めることができた、3Dテレビはコケたが今度こそテレビ機器出荷1,000万台/年復活を、という声も聞こえる。その考え方を前提に近年の総務省懇談会等でも出荷台数が様々に予測されていたが、一貫してはずれ、下方修正を余儀なくされている。予測の前提は、前述2010年を頂点とする駆け込み需要後の低迷が2015年くらいで収束し、2016年頃から反動、2020年には元通り1,000万台/年、という考え方だったと思われる。

 さすがに2010年に買わされたテレビの故障や陳腐化による買い替え需要は起きる。それはオリ・パラのキャンペーンという文脈でとらえがちだが、長年積み上げられたテレビ買い替え期間が9年前後とこの20年ほとんど変わっていない(内閣府「消費動向調査」各年版より)ことによって起きるだけで、「地デジ化」のような切羽詰まった事情がない今回は、 ・・・ログインして読む
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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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