米・住宅省によるFacebook提訴に学ぶ
2019年04月26日
今年4月1日、外国人労働者の受け入れを拡大する「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」(改正入管法)が施行された。改正入管法では新たな在留資格である「特定技能」が新設され、介護、外食、建設、農業、宿泊など人手不足が深刻な14の分野に今後5年間で約34万5000人の外国人労働者を受け入れる計画が立てられている。
日本に暮らす外国人は近年、増加の一途をたどっており、法務省によると2018年末現在で日本に在留する外国人は約273万人。前年比は約17万人(6.6%)増で、過去最高を記録した。1988年には約94万人だったので、この30年間で3倍近くになったことになる。全人口に占める外国人の割合も約2.2%に達しており、すでに日本は「移民社会」となっていると指摘する識者も少なくない。
政府は受け入れの拡大にあたって、外国人との共生社会との実現を掲げているが、労働環境、日本語教育、社会保障などの整備は出遅れている。安価な「人材」を求める経済界からの要請に応えようとするあまり、「人」としてどう受け入れるのか、という面がおろそかにされていると言わざるをえない状況だ。
外国人の受け入れに関して私が注目しているのは、住宅の確保に関わる課題である。
昨年12月25日に政府が発表した「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」では、外国人の住宅確保に関して以下のような施策が記載されていた。
・外国人労働者の受け入れ企業が、自ら適切な住宅確保を行うほか、保証人として入居をサポートするなど、責任をもって住宅の確保が確実に実施されるよう、環境整備を行う。
・不動産関係団体において、大家の懸念を払拭するため、外国人の入居受け入れに関する無料相談窓口の充実を図る。
・国土交通省で作成している「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」(各国語版の賃貸住宅標準契約書や実務対応マニュアルを収録)を自治体、不動産関係団体と連携して普及する。
・2017年度から実施されている空き家を活用した新たな住宅セーフティネット制度の活用を図る。
・公営住宅への入居については、在留資格を持つ外国人が日本人と同様に入居できるよう、自治体に引き続き要請する。
・UR(都市再生機構)の賃貸住宅において、外国人の居住者が多い団地で実施されている外国人との共生の取り組み(外国語版の居住者向けリーフレットの配布、通訳の配置、居住者間の交流イベントの開催等)を推進する。
民間賃貸住宅への入居支援については、すでに先行して動いている自治体も存在する。
住民の8人に1人が外国人である東京都新宿区では、住まい探しや生活ルール・マナーなど、住まいに関わる様々な情報を多言語で提供。不動産業界にも協力を要請し、入居の支援や入居後のトラブルの未然防止に力を入れている。
だが、こうした取り組みがある一方、全体として外国人の民間賃貸住宅への入居差別は深刻である。
2016年に法務省が公益財団法人「人権教育啓発推進センター」に委託して実施した調査では、
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