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野村克也氏が語る妻・沙知代と生きた人生

人の命の儚さを知った突然の死。家中サッチーだらけなのに、おまえだけがいない

丸山あかね ライター

「ありがとう」と伝えるべきだった

拡大『ありがとうを言えなくても』(講談社)
 「サッチーが先に逝ってしまうなんて」と、その事実を受け入れられないまま時が流れた。繰り返し思い起こすのは、亡くなる日の朝の出来事だ。

 「ベッドの中で手を握って欲しいと言われたんだよ。そんなことは初めてだったから何をおかしなことを言い出すのかと思ったけど握ってやった。こんな小さな手だったかなと感じたのを覚えてる。
 ずいぶんと経ってその時のことを思い出して、サッチーは幸せだったのかなと思ったら泣けてきた。こっちは彼女のおかげで悪くない人生だったんだから、『ありがとう』と伝えればよかったとそれが心残りでね。男はなかなか言えないんだよ。でもカミサンが元気なうちに言わなくちゃ、死んだらもう伝えようがないんだよな」

 4月に出版された本のタイトルも『ありがとうを言えなくて』(講談社)とした。沙知代さんの生い立ちや経歴、夫婦のこと、子供達のこと、世間を騒がせた数々の出来事の真実……。

 「こんなに赤裸々に語ったのは初めてだね。供養になればと思って作った本だけど、サッチーは『アンタ、余計なことをペラペラ喋ってどういうつもり?』とか言って怒ってるかもしれないな」

野村克也(のむら・かつや)
1935年、京都府生まれ。京都府立峰山高校を卒業し、1954年にテスト生として南海ホークスに入団。現役27年にわたり捕手として活躍。歴代二位の通算657本塁打、戦後初の三冠王などの記録を持つ。70年の南海でのプレイングマネージャ―就任以来、ヤクルト、阪神、楽天の四球団で監督を歴任。ヤクルトでは三度の日本一を達成。楽天でも球団初のクライマックスシリーズ出場に導いた。

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筆者

丸山あかね

丸山あかね(まるやま・あかね) ライター

1963年、東京生まれ。玉川学園女子短期大学卒業。離婚を機にフリーライターとなる。男性誌、女性誌を問わず、人物インタビュー、ルポ、映画評、書評、エッセイ、本の構成など幅広い分野で執筆している。著書に『江原啓之への質問状』(徳間書店・共著)、『耳と文章力』(講談社)など