メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

無料

生きていた民社党、保守運動をオルグする

日本会議と共闘する労働戦線は、どう作られてきたか <1>

藤生 明 朝日新聞編集委員

 その点、田久保氏は絶妙の位置に立つ、実にすわりのよい人物だったと聞く。広範な組織、個人にウィングを広げるうえでも、田久保氏の原籍である「旧民社系」をさらに運動に引き込む効果もある。民社協会の地方議員ネットワークやUAゼンセンのような活発な労働組合の存在は戦力として魅力的に映ったに違いない。

塚本元委員長ら「明治の日」訴え

 憲法記念日の4日前、4月29日には、東京・明治神宮の神宮会館で「昭和の日をお祝いする集い」があった。実行委員会を組織するのは、「みどりの日」を昭和天皇誕生日由来の「昭和の日」に改める祝日法改正を実現した人々だ。

拡大昭和の日実現に奔走した人々の「お祝いする集い」。明治の日制定運動とも深くかかわっている=2019年4月29日、東京・明治神宮会館、筆者撮影
 その人々の多くはいま、11月3日の「文化の日」を明治節(明治天皇誕生日、戦前の祝日)にちなんで、「明治の日」へと改める運動に奔走している。団体名は「明治の日推進協議会」。会長は塚本三郎・元民社党委員長が務める。協議会を取り仕切る高池勝彦・事務総長は「新しい歴史教科書をつくる会」会長で、旧同盟系の労働弁護士として広く知られている。最近では、神社本庁(全国8万社)の正常化を求める「神社本庁の自浄を願う会」代表となり話題になった。

 その高池氏もまた、田久保氏と同じく早大法学部時代からの社思研メンバー。研究会には同じ頃、のちに産経新聞社社長に就く住田良能氏、河合栄治郎の評伝などがある湯浅博・元産経新聞論説委員やロシア政治の木村汎・北大名誉教授、民社党中央執行委員になる梅澤昇平・尚美学園大名誉教授らがいた。補足するなら、この人々にもう一点、ほぼ共通するのが櫻井よしこ理事長の国家基本問題研究所(国基研)との深い関わりだ。国基研は櫻井氏が構想し、田久保・高池両氏が設立時から賛同者集めなどに深く関わった政策集団。現在、両氏は副理事長、梅澤氏は評議員長の任にある。

 設立集会(2008年)時点の名簿をみると、理事に石原慎太郎・元東京都知事、歴史学者の伊藤隆・東大名誉教授、塚本三郎氏や、高池氏が「南京事件の裁判を一緒にしませんか」と勧誘したという弁護士、稲田朋美・元防衛相らの名がある。さらに続けると、当時の評議員長は日本経済新聞のコラムニストだった井尻千男・元拓殖大日本文化研究所長。 評議員に作曲家のすぎやまこういち氏、「特定失踪者問題調査会」の荒木和博代表、「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)会長の西岡力・元東京基督教大学教授らが名を連ねている。

拉致問題に取り組み

 今年1月中旬、東京・芝の友愛会館で民社党OB会・結党60年を祝う集いがあり、前出の特定失踪者問題調査会代表、荒木和博・拓殖大学教授も姿をみせた。荒木氏は慶大法学部を卒業、民社党職員になった人物。ゼミの指導教授は、民社研の主要メンバー、政治学者の中村菊男氏だった。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

藤生 明

藤生 明(ふじう・あきら) 朝日新聞編集委員

1967年生まれ。91年入社。長崎、筑豊、小倉、博多に勤務。2001年、雑誌AERA。12年、新聞に戻り大阪、東京両社会部。17年から右派・保守国民運動を担当する編集委員。著書に『ドキュメント日本会議』『徹底検証神社本庁』(ともにちくま新書)