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“元全共闘”は半世紀を経ても悔い改めない!?

75項目のアンケートを実施中、シンポをうけ秋には「次世代へのメッセージ」を出版へ

前田和男 『続全共闘白書』編纂実行委員会事務局

全共闘から526通の回答が寄せられた四半世紀前の「前哨戦」を受けて

拡大1994年夏刊行された『全共闘白書』(新潮社)
 実は、この取り組みには、「前哨戦」がある。

 26年前、往時東大安田講堂行動隊長で後に民主党の参議院議員となる故今井澄氏をはじめ、早大、明大、中大、お茶大全共闘の中心メンバーを呼び掛け人として、全共闘運動体験者にむけて、「今こそ語りはじめよう全共闘世代」と銘打ってメッセージが発せられた。

 社会の中核を担う世代となった「元全共闘」に、アンケートを通じて「来し方行く末」を問い直そうという呼びかけで、そこにはこう記されてあった。

 「私たちの『明日』は決して明るくはありません。だからといって私たちの『明日』を誰かにゆだねるのは、かつて私たちがもっとも嫌った道でした。それは今も私たちがもっとも嫌う道です。私たち自身が私たちの未来の当事者でなければなりません。(中略)
もちろんこの二十数年で私たちはそれぞれ大きく変わったことを認めなければなりません。その違いと変化を認めあう中から、新しいネットワークのありようを展望していきたいと考えます。
その第一歩としてアンケートを行って、現在の私たちの肖像を『白書』として広く社会に発信することで、私たちの次なる方向を定めるスプリングボードとしたいと思います」

 このアンケートは、収入から年金・介護問題、政治参加の意思など、73項目におよぶ膨大なもので、「元全共闘」のネットワークを通じて、約3千人に発送された。

 およそ1年をかけた地道な回収作業のなかで、得られた回答は全国86大学・高校全共闘体験者から526通。その回答のほとんどは、「思いのたけ」がびっしり書き込まれたものばかりであった。

 そこで、アンケートにこめられたメッセージを読みやすく再編集して、世代を超えて発信し、世代を超えたネットワークづくりの契機とするために『全共闘白書』(新潮社)を、一方で回答は「歴史の証言」としても貴重な史料であるとの認識から回答全文を網羅した『資料編』が自費出版された。

拡大全アンケート内容を収録した内部資料『全共闘白書資料編』
拡大『全共闘白書資料編』の一部

 前者の『全共闘白書』(新潮社)には、「アンケートの集計・分析」「回答者座談会」「“造反”教員のコメント」等が加えられ、いっぽう『全共闘白書・資料編』には「アンケート回答全文」に加えて、加藤一郎東大総長代行、村井資長早大総長、宮崎茂樹明大総長ら当時全共闘と「対決」した大学当局者のコメント、回答者から寄せられた往時の写真やビラ・機関紙など貴重な歴史的資料が収録された。

 『全共闘白書』(新潮社)は、この種の硬派系としては破格の4万部超を売り上げ、マスコミに大きく取り上げられ、「日大930の会」の結成をはじめ、様々な「再会」が実現、「全共闘運動の歴史的意義」をめぐる議論にも資することになった。

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筆者

前田和男

前田和男(まえだ・かずお) 『続全共闘白書』編纂実行委員会事務局

1947年東京生まれ。東京大学農学部卒。日本読書新聞編集部勤務を経て、翻訳家、ノンフィクション作家、編集者。資生堂化粧文化研究会会員。路上観察学会事務局。全国石炭産業関連博物館等研究交流会会員。月刊『のんびる』(パルシステム生協連合会)編集長 ●著作 『民主党政権への伏流』(ポット出版)『男はなぜ化粧をしたがるのか』(集英社新書)『足元の革命』(新潮新書)『選挙参謀』(太田出版)『MG5物語』(求龍堂)他。 ●訳書 I・ベルイマン『ある結婚の風景』(ヘラルド出版)、O・ハラーリ『コリン・パウエル リーダーシップの法則』(KKベストセラー)、アンダーセン『愛しのキャロライン』(ビジネス社)他。