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「反マルクスの社会主義」 民社党の遺伝子

日本会議と共闘する労働戦線は、どう作られてきたか <2>

藤生 明 朝日新聞編集委員

 高池氏や梅澤氏らが「社会正義実現」の指針とした民主社会主義とは何なのか。国民運動の先頭で奮闘する彼らの考え方を深く知るには、民主社会主義を理解しないといけない。

労働運動の源流に福沢諭吉

 旧同盟本部跡地(東京・芝)に建つ友愛会館(2012年竣工)。その8階に友愛労働歴史館がある。展示は、運動の歴史を説明した常設展と、年2回開催の企画展の2部だてで、これまで「戦後民主化リーダー片山哲」「鈴木文治・友愛会と吉野作造」「賀川豊彦と友愛会・総同盟」といった企画展が催されてきた。今は「民社党結党60年展」(〜6月28日)が開催中だ。

拡大労働運動の発展のきっかけをつくったとされる福沢諭吉=2019年2月26日、東京・芝の友愛労働歴史館

 今年1月中旬、民社OB会総会・懇親会が結党60年祝いも兼ねて同会館であった。懇親会の出席者は塚本三郎元党委員長や西村真悟元衆院議員、防衛大学校の佐瀬昌盛名誉教授、産経新聞社の熊坂隆光会長ら約70人。総会・懇親会に先立ち、歴史館事務局長の間宮悠紀雄氏から運動史のおさらいを受けた。

 「あとで見てもらいます常設展示で、一番最初に出てくるのが福沢諭吉です。福沢がユニテリアンの人たちを招き、彼らは教会を建てて——」。歴史館に入ると、間宮氏の説明どおり福沢諭吉の肖像画が目に飛び込んでくる。のちに友愛会・総同盟へと発展するきっかけは、福沢や金子堅太郎(明治憲法起草者の一人)らが1887年、米国から招聘したユニテリアン教会(キリスト教の一派とされる)の牧師だったと解説されている。

拡大友愛労働歴史館で催された企画展の数々。日本労働運動の歴史がわかる
 1894年には、鹿鳴館などで知られるJ・コンドルの設計で教会「惟一館」が竣工。キリスト教徒だけでなく、仏教徒なども集まった。展示内容に従えば、内ケ崎作三郎(早大教授、衆院副議長)、星島二郎(衆院議長)、河上丈太郎(社会党委員長)、大山郁夫(早大教授)、市川房枝(婦人運動家)らが集い、ユニテリアンミッションとされる「自由の拡張」「社会問題の解決」に取り組んだという。

 その教会を足場に、鈴木文治が1912年、労働組合「友愛会」を結成した。友愛会はその後、総同盟となり、第一回普通選挙の社会民衆党(安部磯雄委員長、片山哲書記長)の設立母体となる。彼らの組織・運動は戦時中、産業報国会、大政翼賛会でいったん途切れるものの、戦後、社会党、民社党へと脈々と続いていく。展示はおおむねそんな流れで進められている。

「左右の全体主義に反対」「幻想的な平和主義を排す」

 さて、さきほどの間宮氏のレクチャーに戻ろう。間宮氏は説明の終わりに、「民社党の志、民社党の遺伝子とは——」という表題のスライドを指さしながら、一部を読み上げた。


筆者

藤生 明

藤生 明(ふじう・あきら) 朝日新聞編集委員

1967年生まれ。91年入社。長崎、筑豊、小倉、博多に勤務。2001年、雑誌AERA。12年、新聞に戻り大阪、東京両社会部。17年から右派・保守国民運動を担当する編集委員。著書に『ドキュメント日本会議』『徹底検証神社本庁』(ともにちくま新書)