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PTA本部役員をうっかり引き受けたら見えたこと

フルタイム記者の決意と挫折と後悔

今川綾音 東京新聞生活部記者 子育てサイト「東京すくすく」編集チーム

授業参観そっちのけの必死の勧誘

 2016年の暮れも押し迫った土曜日の授業参観でのことだった。体育館で、知り合いのパパが必死の形相をした6人のママに取り囲まれていた。「来年度の役員が足りないんです。引き受けてもらえませんか?」

 彼女たちは、PTAの選考委員。翌年度の本部役員決めや、広報・クラスなどの各委員決めを取り仕切るのが仕事だ。秋に本部役員の選考を開始したが、年末になっても定数が埋まっていなかった。

 それもそのはず。各委員会を束ね、その学校のPTA全体を動かす司令塔である本部は、活動量が半端ではない。当然ながら引き受け手はなかなか見つからないのだが、翌年度の会長・副会長・書記・会計・会計監査役の10人前後が決まらない限り、選考委員の仕事は終わらない。私も11月に、子どもと同じクラスの選考委員のお母さんから電話で勧誘されたが、「委員はできても、本部役員はとてもできない」とお断りしていた。

 6人の選考委員のうちの1人は、下の子の保育園が一緒で、普段から仲良くしているママだった。子どもの授業参観もそっちのけで必死に役員の勧誘をしているママ友を見ていられず、「仕事していても、できる内容なのかな」と声をかけてしまったのがすべての始まりだった。

 まさに、うっかりもうっかり。そして、私は本部役員になった。

入学式のまんじゅう配りってそんなに大事?

拡大2017年4月のPTA本部予定表。毎週土曜、朝から夕方まで作業が本当につらかった。子どもの通院も歯医者の予約もキャンセルした
 2017年度のPTA役員として集まった8人(男性3人、女性5人)は偶然、全員が働いていた。新年度初の活動は、4月の平日に行われる入学式への参加だ。ところが仕事があるメンバーも多く、参加できるのは会長・副会長に加え、新入生の子がいて入学式自体に保護者として参加する私ともう一人の女性の計4人しかいなかった。

 会長が言った。

 「入学式の間に、新入生の教室に行って、机の上に紅白まんじゅうを配る役が必要です。式を終えて戻る子どもたちへのサプライズなので、式の間に内緒で配ります。会長と副会長は、入学式であいさつとPTAの説明があります。他の2人は新入生の保護者なので式を抜けさせるのは申し訳ない。どなたか、お仕事の都合をつけられる方、いませんか?」

 えええ。まんじゅう配りのために、仕事を休ませるおつもりですか!? たかがまんじゅう、たかだか10分のために!?

 せっかくの入学式だし、子どもの姿をゆっくり見ていたいけれど、「私が抜けて配ります!」と言った方がいいのか? だいたいサプライズって言うけれど、おまんじゅうなんて、今の子どもたちは喜ぶんだろうか……


筆者

今川綾音

今川綾音(いまがわ・あやね) 東京新聞生活部記者 子育てサイト「東京すくすく」編集チーム

埼玉県入間市生まれ。中日新聞東京本社(東京新聞)生活部の記者として、子ども・子育てを担当。「考えようPTA」「笑顔が増える ペアレント・トレーニング」を紙面とサイト「東京すくすく」(https://sukusuku.tokyo-np.co.jp/)で連載中。子どもは、小学生2人と保育園児1人。PTAは、2017年度に本部役員の書記を経験。任期が「東京すくすく」の立ち上げと重なり、全身じんましんが出る事態に。2019年度は広報委員になり、「無理をしない・させない」を目指している。