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市長はなぜマニフェストにPTA問題を掲げたのか

PTAにおける保護者の負担軽減を掲げて当選した越田謙治郎・兵庫県川西市長に聞く

田中聡子 朝日新聞オピニオン編集部記者

任意組織でも市長にできることはある

――直接変えるのではなく、「検討会」という方法を選んだのは?

 最初はマニフェストに「PTAの見直し」と書こうとしていたんです。でも、「PTAって、任意の組織でしょ?」っていう当たり前の突っ込みが入りました。確かに任意の組織を市長が変えるのはおかしい。でも、組織のあり方を見直すきっかけをつくることはできます。

 それに任意の組織だから、市長がまったく関与できないということはありません。自治会やコミュニティー組織のあり方を、市が検討することは当然あります。任意の組織とは言っても、補助金を出したり、市や学校が絡んでいたりすれば、無関係ではありませんよ。

――まだ少ないですが、これまで積極的な参加を推進する一方だった市P連(市を単位とした単Pの上部団体)なんかの中からも、組織や活動のあり方を見直す動きがあります。

拡大maroke/shutterstock.com
 議会で、「PTAの連合組織ががんばってもだめで、SOSがあってから市が動くべきじゃないか」という意見がありました。当然、連合組織のみなさんの協力は不可欠で、ちゃんと別段話し合いたいと思います。彼らもがんばっていて、改革するよう単Pの背中を押してくれています。

 でも、いろんなステークホルダーや、先輩であるPTA役員のOB、目上の地域組織の人たちなんかがたくさんいて、PTAの組織だけでは改革しにくい面もあるでしょう。単Pに改革を呼びかけても、言われる側の単Pの会長が「くじで負けたからやってるだけです」って立場であれば、一緒に長期的に取り組むことは難しい。

 何より、既存の組織の人たちだけで話し合うと、自分たちは「一生懸命できる」ので、「できる人目線」が中心になりかねません。現場のPTAには、いやでいやで仕方ない人もいますから。

――PTAについての記事を書くと、「よく書いてくれた」というエールと同じくらいの熱量で、「子どものためだろう」「『やりたくない』なんてわがままだ」といった意見も寄せられます。今回の市の検討会にも批判があるのでは?

 批判というか、不安でしょうね。「越田がPTAをつぶそうとしてる」といううわさもあるそうです。好意的な人もいれば、PTAが「よき思い出」の人は「いままで自分たちがやってきたことを市長が否定している」と受け取るのでしょう。もちろん、過去の全否定ではありません。PTAを通じて社会に貢献した人や、やりがいを見いだすことができた人もきっといるでしょう。すばらしいことです。

  僕が問題にしているのは、同じことができない時代も、できない人にも、同じような活動が求められているということです。

――「やりたい人がやりたい時にやりたいことを」という人から、「全員義務にすべきだ」という人まで、「理想のPTA」は人によってばらばらです。検討会で話し合うにしても、ある程度議論の方向性を示さないと結論がまとまらないのでは?

 価値観を押しつけるわけにはいきませんが、本当に子どもたちのためになっているのか、これからも続けていけるのかについてよく議論してほしいですね。そのうえでモデル的な活動を示し、1年間試してくれる学校があればお願いし、また課題を洗い出す。そういうサイクルで進めたいと考えています。

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筆者

田中聡子

田中聡子(たなか・さとこ) 朝日新聞オピニオン編集部記者

2006年、朝日新聞社入社。盛岡総局、甲府総局、東京本社地域報道部、文化くらし報道部を経て、20年からオピニオン編集部。PTA、二分の一成人式などの教育現場の問題のほか、自治会など地域コミュニティーへの動員などについて取材している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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