カラフルな学校ってなに 幸せの道筋と職員室改革
ダイバーシティーやインクルージョンな社会を生き抜く子どもを育てるメソッド
岩崎賢一 朝日新聞社 メディアデザインセンター エディター兼プランナー
教師の立ち振る舞いから、いじめに発展も
――教室での教師の接し方一つで、子どもたちに影響を与えるということですね。
教師たちが多様性を認めないような物の言い方や接し方をすると、そこからいじめが発生することが当然あり得ます。
――なぜ、そういうことが起きるのでしょうか。
私が若い頃に教えられたのは、叱るのは全体の前でなく、その子を呼んで、しっかり向き合いその子が分かるように叱り、褒めるときはみんなの前で褒めてみんなでまねしようと言う、ということです。みんなの前で叱ると、みんながその子に対して負のイメージを持ってしまうことを学んでいたと思います。
しかし、力業でなんとかしようとする教師もいます。強く言うことで、こういう考えはいけないんだということを知らせたり、そういうことをすると叱られるんだと理解させたりするために、みんなの前で見せしめのように叱る指導をします。
叱って動かすマネジメントなのか、褒めて動かすマネジメントなのか。認めて育てようとするのか、否定する中で育てようとするのか。これは大人の社会にもあります。
学校が疲弊した感じになるのは、あめとむちで言えば、むちばっかりのマネジメントになると疲弊した感じになってしまいます。かといって、あめばかりでもだめでしょう。認める、信じて任せるというマネジメントをしていくと、普通の人はやる気が出て前向きに取り組んでいきます。子どもも同じです。良いことをすると褒められる、そして任される、信用される、というような教師たちによる学校のマネジメントがあるからこそ、違いがあっても認め合える子どもたちが育っていくのだと思います。

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教師も学び続けなければいけない時代に
――そういうマネジメントができる教師になるためには、どうしたら良いのでしょうか。
クラス担任を持つ教師にしても、校長のような管理職でも、学び続けることが必要です。自分の経験値だけでやっていこうとすると、実は子どもたちががまんをしていたり、耐えていたりすることがあるかもしれません。
自分の言うことを聞いてくれていても、それはカラフルではなく、教師が1色に子どもたちを染めていることになります。教師の考えから外れる子どもたちは、がまんするか、学校に来られなくなるか、その集団に居られなくなってしまいます。
スタンダードだとか画一的なものは、子どもたちが一緒に学ぶ権利を奪っていくだろうと思います。
私が18年4月から勤務する日枝小学校は、外国籍または外国につながる子どもが全体の2割を占めています。これから、どの小学校でも増えていくでしょう。日本人より外国籍や外国につながる子の方が多い小学校もでてきています。
障害だけでなく、国籍、言葉、文化といった様々な違いを受け入れていく中で、子どもたちが幸せに暮らしていくためにはどうしたらいいのか。教師は学ばなければいけない時代に来ています。