カラフルな学校ってなに 幸せの道筋と職員室改革
ダイバーシティーやインクルージョンな社会を生き抜く子どもを育てるメソッド
岩崎賢一 朝日新聞社 メディアデザインセンター エディター兼プランナー
多国籍化する公立学校
――障害児だけでなく、外国籍の子どもたちも増えてきています。
今の日枝小学校は、児童数670人で、教職員は全部入れると55人います。個別支援学級が5クラスあり、知的障害と情緒障害に分かれており、35人が在籍し、5人の教師が担任をしています。ほとんど通常学級に交流に出ている子どももいます。
また、13カ国からの子どもがいて、国際教室には60人が通常学級と行き来しながら学んでいます。一番多いのが中国籍の子どもで、約8割を占めています。全体からすると、まだ少数派なので一緒にやりましょうとなります。
しかし、比率が逆転している小学校では、その国の子どもたちだけでまとまってしまったり、母国語で遊んだりしてしまい、その結果、コミュニティーが出来てしまい、日本人の子どもと一緒に何かすることが難しくなってきています。
また、日本人の保護者が心配するのは、外国籍の子どもの数が増えたとき、日本の子どもたちの学習が担保されるのかということです。
そうすると、PTAの問題もでてきます。文化の違いが出てきて、日本のやり方に合わせられるのか、ということが問題となります。
外国籍の子供の親の中は、日本語を学んだり使ったりする機会が少ない人もおり、地域の日本人コミュニティーになかなか入れない人がいます。学校には社会の縮図が現れているので、学校はそういうことに対処していかないといけない時代です。

イメージ写真 CCL STUDIO/shutterstock.com
子どもたちが背負ってくる地域や家庭の課題に目を向けよう
――学校だけでなく、日常生活の中で子どもたちの親の世代が壁を作ってしまい、そのような対応が子どもたちに影響を与えるということはありませんか。
家庭や地域は今、持続不可能な社会になってしまっていて、みんなが生きづらい社会になってしまっています。学校は、地域の縮図なのです。子どもたちは、家庭や地域で抱えている問題を引きずって学校に来ています。表情は明るくしているけど内面では苦しい思いをしている子どもがたくさんいます。
学校は家庭や地域の縮図だからしょうがないよね、と言ってしまうと学校の未来はありません。学校は、持続可能な社会のモデルになり、社会に広げていくような発想の転換が必要です。保護者がこう言うからしょうがない、地域がこうだからしょうがない、という見方で子どもたちを見ていたら、子どもたちは自分の良さを発揮できなくなってしまう。学校に来たら、未来に希望を持てるようにしないといけません。だとしたら教師たちがそういう意識を持ってやっていかないといけないのです。
外国籍の人たちを地域社会がなかなか受け入れていないとしても、学校では一緒に社会を作っていくことを学んでいくことです。そういう子どもの姿を見て、親たちも学んでいくと思います。
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