
日本語クラスで学ぶ海外ルーツの子どもたち。授業は全て日本語で行われている(筆者撮影)
2019年4月から、昨年末の臨時国会で可決・成立した改正入管法が施行されました。この改正入管法では新たに単純労働分野に外国人労働者を受け入れるための在留資格「特定技能」の新設が盛り込まれたことは各メディアでも大きく報じられました。
一方で、この改正入管法ができる以前から日本で暮らす在留外国人は増加を続けており、法務省の統計によると2018年6月の時点でその数は約264万人に上っています。今後、上述の特定技能での受け入れを含め、この数はさらに増えることが見込まれており、多様な人々が共に生きる社会への転換が始まっています。
入管法改正に時を同じくして、政府は「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を取りまとめ、閣議決定しました。外国人との共生社会の実現に向けた環境整備を推進する目的で126項目(予算総額211億円)に上る対応策が盛り込まれ、多言語相談体制の整備や生活サービス環境の改善に加え、円滑なコミュニケーションのための日本語教育の充実に関する施策などが含まれました。今回、適切な言語教育機会や安心して暮らせる環境を整備することが必要不可欠であると政府が認め、推進に動き出したことは大きな意義を持っていますが、その実現には多くの課題が残されています。
これまで、外国人の地域への受け入れ体制整備については自治体に一任(丸投げ)された状況が続いてきました。その結果、外国人が多く暮らしている自治体やボランティア活動の盛んな地域と、外国人が少なく、予算も人材もいない自治体・地域との間で大きな格差が生じています。