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カーナビの将来は“ルート案内済み”だった

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

拡大カー用品店のカーナビ売り場=東京都江東区

 カーナビが、売れている。2018年のカーナビの国内出荷台数は前年比5%増の614万台(電子情報技術産業協会調べ)だ。同年の国内新車販売台数が商業車含めて527万台(日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会調べ)、事実上車載カーナビ台数に近い数字である「VICS車載器累積出荷台数」は約6,200万台(VICSセンター調べ)、四輪車の保有台数は約7,800万台(日本自動車工業会調べ)であり、日本では実質的に「車には基本的にカーナビがついている」となった。カーナビ装着率の国際比較推移という確固たる数値は存在しないが、隣接する陸続きの国や州で交通法規や道路交通管理者(=政府)が十分連携しているとは言えず、技術規格の標準化に労力を必要としてきた欧米諸国に比べ、島国の日本はカーナビが普及しやすい素地があった。

カーナビ業界は再編ラッシュ

 しかし「カーナビ業界」は、事業再編ラッシュになっている。富士通テン(現デンソーテン)は2016年にデンソーの子会社となり、アルパイン(現アルプスアルパイン)は2017年にはアルプス電気と経営統合した。パイオニアは2019年に香港の投資ファンドBPEAの傘下となった。日立製作所の子会社だったクラリオンはフランスの大手自動車部品会社フォルシアの傘下となった。これらはカー用品店や電気量販店で買って後付けする高収益の高級品「市販カーナビ」ブランドを持っていた企業たちだ。

 カーナビ全体の増加と、市販カーナビ事業の減退。この両者の差分は、自動車メーカーが新車にOEM装着する「純正カーナビ」の増加である。カーナビは1990年代の時点から、デジタル地図を現在位置が動くだけの仕組みではない。基本的に道路でないところは走らないように設計され、渋滞情報表示も織り込まれ、タイヤの回転速度やハンドルの向きの情報も取り込むのでGPSの人工衛星が見えないトンネルでも前に走り続ける。オーディオや車内電気系統モニタリング、インターネットやハンズフリー電話などは20世紀のうちから、2019年の現在ではドライブレコーダーやバックモニター、ETCとその拡張利用(駐車場でのドライブスルー決済など)、自動運転の礎となる安全運転支援機能、と連携し、7インチ程度のディスプレイと、ジョイスティックやタッチパネルのインターフェースを持つカーナビは自動車のIT関連各機能の中心に位置する。

 車載機能と連携しないナビゲーション機能なら、スマホやタブレットを運転席に装着すればこと足りる世の中になった。しかしそれは機能としては20年近く前から実現していたことであり、普及率と通信費の低下がその利用形態を予想以上に早く後押ししたに過ぎない。

 筆者所有の車に後付け装着されている17年前のハードディスクカーナビには、 ・・・ログインして読む
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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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