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『白い巨塔』が微妙だったのは配役のせいか?

医療技術は最新式なのに妻たちは昭和満載。現代風アレンジと古い設定が混合し興ざめも

杉浦由美子 ノンフィクションライター

拡大岡田准一が主役を務めた『白い巨塔』=テレビ朝日のホームページから
 『白い巨塔』(テレビ朝日系)が岡田准一主演でリメイクされ、5月22日から5夜連続で放映されたが、視聴率はとパッとしない。平均視聴率は13.3%。2003年にフジテレビ系で放送された唐沢寿明主演の『白い巨塔』は平均視聴率23.9%であった。去年放送された医療ドラマ『ブラックペアン』(TBS系)の平均視聴率14.29%と比べても微妙な数字である。

 ネットを中心に配役への不満があり、それについてTV制作会社の社員に意見を求めるとこう返ってきた。

 「財前五郎の役はどの俳優でもやってみたいと願う大役。俳優としての格やマネージメントとの力関係でああいう配役になったのでは」

 また、今回の配役では、20代スター女優の不在を痛感させられたという声もある。『白い巨塔』で名シーンの一つが、東教授の娘佐枝子が愚直で誠実な准教授里見の診察を受ける場面だ。佐枝子は里見の人間性に惹かれ、恋心を持ちはじめる。その若い女の白い肌に里見が聴診器を当てるのは、非常にエロチックなのだ。かつて島田陽子が佐枝子としてこのシーンを演じた時、視聴者はドキドキしたものだ。しかし、今回は単なる診療シーンで「このシーン、なんの意味があるの?」と感じさせた。

 歌舞伎の『忠臣蔵』が繰り返し上演されるように、『白い巨塔』もたびたび映像化されてきた。『忠臣蔵』には夫のために遊女になるお軽という役がある。若く美しい女形が演じて、舞台に花を添える。佐枝子も同じようなポジションの役で、唐沢版では矢田亜希子が演じていた。その時々の若きスター女優が務める役なのだが、今、そのポジションにいる人材がいない。現在のドラマの苦境を示していると再認識した。

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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