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「初めてデモに行ってきた」から8年

悲惨な状況に真面目に向き合う

中島京子 作家


拡大安保関連法案に反対して国会周辺を埋め尽くした人たち=2015年8月30日

デモの人数は増えたけれど

 しかし8年経って、いまは無邪気に人数が多ければ報道されるとは思えなくなっている。今年5月3日の憲法集会は、昨年を上回り6万5千人が参加したと「東京新聞」は一面で報じているけれど、「NHKニュース7」は壇上の野党議員を映しただけで集まった人々を画面に映さず、人数も伝えなかったそうだ。

 それからもう一つ気になるのは、デモのときに動員される警察官の増加だ。とくに官邸前や国会前は多い。デモ参加者より多いと感じる。しかし、実際どのくらい動員されているのか、私は把握していないので、もし、数が増えていないとすれば、警察官が醸し出す威圧感が増したのかもしれない。

拡大国会前に向かう人の動きを妨げるなど、警察の過剰な警備も見られた=2015年9月16日、国会正門前付近
 デモ/集会参加者を限られたスペース(官邸前、国会前の場合は歩道のみ)に押し込めて、通せんぼするように青い特殊車両がずらっと並ぶ光景は異様だし、地下鉄の出口やら横断歩道やらを勝手に封鎖して、集会場所にたどり着きにくいようにするのも問題があると思う。毎回、人であふれかえる地下鉄出入り口付近を目撃するたびに、いま、このときに大震災が起こったら、私はこの地下鉄構内で命を落とすのではないかという想像で恐怖にかられる。デモや集会は平日の夕方や土日に開催されることが多いから、永田町にはほとんど車が走っていない。車道を通行止めにして、デモ参加者に開放すれば、ずっと安全な抗議行動が可能になるのに。

 私が参加したデモでいちばん人数が多かったのは

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筆者

中島京子

中島京子(なかじま・きょうこ) 作家

1964年、東京都出身。出版社勤務を経て『FUTON』でデビュー。2010年、『小さいおうち』で直木賞受賞。。2014年、『妻が椎茸だったころ』で第42回泉鏡花文学賞受賞。2015年、『かたづの!』で第3回河合隼雄物語賞・第4回歴史時代作家クラブ作品賞・第28回柴田錬三郎賞の各賞受賞、『長いお別れ』で第10回中央公論文芸賞・第5回日本医療小説大賞をそれぞれ受賞。2019年5月に最新刊『夢見る帝国図書館』(文藝春秋)が刊行されている。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです