放送権高騰に追いつかず2010年以降に赤字転落、 数十億円の収入不足に
2019年06月13日
来年7月の東京五輪開幕まで1年余り。国際的なスポーツイベントとして注目の高い五輪とサッカーワールドカップ(W杯)を放送した民放の収支の詳細が明らかになった。2018年にあった平昌冬季五輪とW杯ロシア大会についてはともに赤字と公表されていたが、民放全体としてそれぞれ約5億円、約43億円と大幅な支出超過だったことがわかった。放送権の高騰にCM収入が追いついておらず、巨額の赤字になったW杯の放送については再検討する動きが民放局に出ているという。
放送権は、NHKと民放でつくるジャパン・コンソーシアム(JC)が交渉窓口となっている。
民放幹部が明らかにした資料によると、2月にあった平昌五輪の民放の支出は、放送権料45億6000万円、JC現地制作費5億4千万円など計約61億1000万円。これに対し、収入は地上波テレビセールス55億円など約56億1000万円。差し引き約5億円の赤字を記録した。
6~7月に開かれたW杯ロシア大会では、支出が放送権料110億円、ネット権料10億円など約134億8000万円。一方の収入はテレビセールス80億円とネットセールス11億5000万円の計91億5000万円で、約43億3000万円の赤字だった。テレビ東京は「局としての総合的な判断」として、試合の中継をしないなど、前回までとは違う対応の民放が出てきている。
NHKと民放は1984年のロサンゼルス五輪以降、JCが国際オリンピック委員会(IOC)から放送権を購入するようになったが、2012年のロンドン五輪で初めて赤字に転落。関係者によると、その額は約5億円だったという。サッカーW杯の場合、2010年の南アフリカ大会で民放は初めて赤字になった。その後、黒字に回復したことはない。
民放はこれまで五輪やW杯の放送による赤字額を明らかにしたことはなかった。支出が超えた分については、東京キー局が負担している。
五輪の日本向け放送権料は2014年に、平昌、東京、北京、パリと夏冬4大会で1100億円で合意。内訳は、平昌と東京で660億円、北京とパリで440億円と時差が踏まえられている。負担割合はNHK7、民放3が原則となっている。
メダル獲得が増えている五輪や日本代表が連続出場するW杯に対する視聴者の関心は高い。放送権をもたないと、
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