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スマホ教育の今昔が大人に問う、大人自身の懺悔力

倉沢鉄也 日鉄総研研究主幹

ガラケー全盛期から何も変わっていない子ども向け啓発教育コンテンツ

 例えばNTTドコモの社内シンクタンクであるモバイル社会研究所が2018年10月版として公開しているコンテンツ「スマートフォンのマナーガイド」「トラブル事例に学ぶ スマートフォン安心ガイド」などでは、スマホ使用時のマナーへの気遣いをアンケートの数字で示しつつ、使用者である子ども自身の守るべきマナー、ルール、リスクを失敗事例集にして示している。それはそれで必要なことであるが、上記冊子類の中身をつぶさに見て、長年このケータイ利用者への啓発教育の中身を見てきた筆者には、スマホについて大人が子どもに啓発教育するアプローチの決定的な違いを感じずにはいられない。

 このシンクタンクが2006年、ガラケー全盛時にまとめた未公開バージョンが手元にある。まず、そこで指摘されているマナーやルールやリスクの課題論点自体は、2019年のそれとみごとなまでに同じだ。子ども向け啓発教育コンテンツなのだから変わる必要はない、という物言いは一理はある。しかし子ども向けのコンテンツが何も変わっていないということは、社会的に問題は何も解決していない、人は進化していない、ということでもある。

 ところが15年近い時間を隔てたこの2つのアウトプット群は、その物言いのアプローチがまったく違っている。2006年版は、ケータイでなぜ問題を起こしてしまうのかは、大の大人もまだわかっていないのだと告白した上で、大人自身がわかろうとすることを子どもにもわかってもらうための説明に力が入れられている。結果として、道具と人間、人間同士、所属組織と個人、の関係の変化を体系で見せて、そこに生じる問題を子どもにわかりやすく理解させようという意図がある。一方で2019年に掲載されている冊子は「みんながそうだから従おうね」というニュアンスが基調になっていて、どうも説得力より数字や事例のドキドキ感で子どもに自覚を促そうという意図に見える。

 ガラケーとスマホの機能面の違いはウイルス対策面など含めてもちろんあるが、 ・・・ログインして読む
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筆者

倉沢鉄也

倉沢鉄也(くらさわ・てつや) 日鉄総研研究主幹

1969年生まれ。東大法学部卒。(株)電通総研、(株)日本総合研究所を経て2014年4月より現職。専門はメディアビジネス、自動車交通のIT化。ライフスタイルの変化などが政策やビジネスに与える影響について幅広く調査研究、提言を行う。著書に『ITSビジネスの処方箋』『ITSビジネスの未来地図』など。

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