辰濃哲郎(たつの・てつろう) ノンフィクション作家
ノンフィクション作家。1957年生まれ。慶応大卒業後、朝日新聞社会部記者として事件や医療問題を手掛けた。2004年に退社。日本医師会の内幕を描いた『歪んだ権威』や、東日本大震災の被災地で計2か月取材した『「脇役」たちがつないだ震災医療』を出版。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
沖縄に滞在していて安倍政権に対する敵愾心は、日々高まっていることを感じる。この追悼式が行われる約1カ月前、安倍首相が来日した米国のドナルド・トランプ大統領をゴルフや居酒屋で過剰とも批判される接待で「友人」を演出したが、トランプ氏に「友人」と呼ばれ仲睦まじく満面の笑みをたたえることが、沖縄の尊厳をどれほど傷つけているかを安倍首相はわかっていない。
ドランプ氏が来日したのは5月25~28日だ。その1カ月半ほど前の4月中旬、北谷町に住む女性が、海兵隊の兵曹に殺害されて、兵曹本人も自殺した事件があった。この兵曹には被害者に対する暴力などで米軍から接見禁止命令が出されていて、事態を米軍も把握しているなかで起きた犯罪だった。3年前の4月には、うるま市でウォーキング中の20歳の女性が海兵隊に所属していたこともある元軍属に殺害され、米軍基地脇の空き地に遺棄された事件が起きている。
こういった事件が頻発すれば、綱紀粛正が徹底して然るべきだが、今年4月から2カ月間で米軍関係者が飲酒運転などの道交法違反などで10人が逮捕される異常な事態も明らかになった。関係自治体が米軍に対して綱紀粛正を求めていても、こういった事件は後を絶たない。6月には酒に酔って器物損壊で逮捕された海兵隊が、取り調べ中の警察官に殴り掛かるなどの事件もあった。
問題になっているのは刑法犯や道交法だけではない。1年半前の17年12月、普天間基地に隣接する宜野湾市立普天間第二小学校の校庭に、重さ約7.7キログラムの米軍ヘリコプターの窓枠が落下した。児童に当たっていれば大惨事につながっていたはずだ。その6日前には、同小学校から約1キロ離れた緑ヶ丘保育園に米軍ヘリのものとみられる部品が落下しているのが見つかったばかりだ。窓枠が落下した小学校には、その後、防衛局から監視要員が派遣され、その監視員の指示で校庭から避難したのは、事故後、678回にのぼっているという。
そして6月4日には、浦添市の中学校に、ヘリの翼を防護するゴム製のテープが落下しているのが見つかった。地元紙である琉球新報の6月6日付のWeb Newsによると、