色々な人がいるからこそ、暮らしやすく住み心地が良い街
日本では5万人を超える認知症の人が精神科病院に入院させられているという“共生”とはほど遠い異常な事態が長年放置されている。しかも人間の尊厳を侵害する身体拘束は無くなるどころか増加していることも厚生労働省の調査で明らかになっている。
「医学モデル」から「生活モデル」への転換は認知症ケアの現場では常識だが、大綱では認知症の行動・心理症状(BPSD)への対応について、症状によっては本人の意思に反したり行動を制限したりする必要があると書かれている。この記述は精神科病院への入院や身体拘束を容認することに他ならず、病院から地域へという世界の流れに逆行する時代錯誤な内容である。世界に発信するのであれば“身体拘束ゼロ”を目指すと掲げて欲しかった。
身体拘束ゼロを目指す運動に取り組む病院は何十年も前からすでに存在しているし、障害者や高齢者を社会から排除・隔離することなく“共生”により当事者が持っている能力を引き出しているコミュニティもある。安倍総理も視察に訪れたこともある石川県金沢市にある高齢者も障害者も大人も子供も“ごちゃまぜ”に暮らす街“Share金沢”だ。先日、Share金沢を立ち上げた雄谷良成さんにお会いする機会があり話を伺った。
人口減少により過疎化が進み消滅可能性都市に指定される自治体もある中で、石川県小松市ではここ10年で約20世帯も世帯数が増えているという。きっかけとなったのは
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