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板野氏の異例の復帰で揺れるNHK

石原経営委員長が主導、経営委では2人が棄権し他に2人が返り咲きに異論

川本裕司 朝日新聞社会部記者

板野氏復帰を問題視して人事案を棄権

 板野氏の専務理事就任に同意した4月9日の経営委員会では、佐藤友美子・追手門学院大教授と小林いずみ・ANAホールディングス社外取締役の経営委員2人が、人事案に対し棄権した。問題視したのは板野氏の復帰だった。

 4月26日に公表された9日の経営委員会議事録では、佐藤委員は「今回も(19年度予算が)全会一致で通って非常によかったという報告がありましたが、板野さんが理事になられた場合、いろいろ反発があるのではないか」「私自身も何年かやってくる中で、ちょっとこれはどうかと思うようなことがいくつかありました。……私としては板野さんに対して抵抗感があって、そこはぬぐえません」と反対した。小林委員は「リーダーシップのある若い方たちをどんどん登用していくということが求められる中で、今回、板野さんのように比較的年齢の高い方がまた戻られるということについて、どのようにお考えになられたのか」と疑問を投げかけた。

 この2人以外にも板野氏の復帰に消極的な発言があった。議事録には、井伊雅子・一橋大大学院教授が「板野さんについて、今回のような(『異例返り咲き』と報じた毎日新聞の)記事が出て、何か昔の記憶などからとても嫌な思いをしたことは確かです。ただ、一理あるのだと思います。ぜひ慎み深い行動をお願いしたいです。日々の言動に気をつけていただかないと、またいろんな問題が起きてくると思います」と話した。渡邊博美・福島ヤクルト販売会長も「この人事でやる場合には、まず理事の方の中で、そのあとNHKとグループの中で、若い方も含めて『やる気』をきちんと持たせるような説明、役割の説明についてお願いしたい」と述べた。

 実際には、もっと踏み込んだ内容の批判が出ていた。だが、議事録には掲載されず、削除された。

 関係者によると、井伊委員は「板野氏はかつて『官邸に近い』と自ら発言していた、と聞いている」と指摘。渡邊委員は「NHK職員から『この人だけはやめてほしい』と、板野氏の復帰に反対するよう訴えられた」と言った、という。ただ結果的には、井伊委員と渡邊委員はともに、人事案には賛成した。

 上田会長は経営委で、板野氏の起用理由について、「放送の現場から関連団体に至るまで経験が豊富で、関連団体の社長業で磨いてきた経営センスもあわせ持っている」と説明した。しかし、関係者によると、板野氏の復帰について、渋る気持ちを周囲に漏らしている。板野氏の担当は放送内容と直接関わりのない関連団体だ。あるベテラン職員は

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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞社会部記者

朝日新聞社会部員。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを経て、19年5月から大阪社会部。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

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