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憲法学者・木村草太がPTA問題に答える(下)

「PTAフォーラム」で参加者との間で交わされた質疑を紹介します

木村草太 首都大学東京教授(憲法学)

行政は任意加入周知のガイドラインを

★東京都杉並区のPTA会長
――毎年何人かが非会員を選ぶが、PTAのお手伝いに登録してくれることも。今は「PTA保険の対象にならないので、参加はお断りします」と対応しているのだが、それは非会員の排除に当たるだろうか。

拡大maroke/shutterstock.com
木村 「活動中のけがに保険がおりないです」と、説明した上でやってもらえればいいのでは。PTA保険が使えなくても自分の保険でなんとかすればと思います。保険がきかないからと、PTAが責任を問われることはないでしょう。さらに、保険契約をするうえで、「被保険者となる会員とは、総会参加資格はなくても活動に参加する人」とすることもできるので、保険会社に問い合わせればよいと思う。実際、地域のボランティアがPTA主催のイベントの手伝いをしているケースはいくらでもありますから。

(会場の参加者から「PTAで参加を許可した人も対象になる、という保険もあるので、約款を確認した方がいいですよ」と発言があり)。

★越田謙治郎・兵庫県川西市長
――「PTAのあり方検討会」を教育委員会の中に立ち上げるということで、第一部のパネラーとして招かれました。いま木村先生のお話を聞き、我々行政の側として、PTAが特権的に施設利用する条件として、例えば任意加入を周知しましょう、などのガイドラインを出すという方向がいいかと思ったが、それで問題ないか。

木村 問題どころか、当然行政に要求されることです。行政は、行政財産を適切に使う責務があり、「会員限定サービス」とか「いじめを誘発するような特定の団体」に施設を貸しているとなれば大問題。施設を利用するにはこういう条件を守って、とは当然要求できます。

拡大Kojiro/shutterstock.com
――一方、グレーゾーンになってしまっているのが、教職員のPTA活動。実質的に校長や教頭がPTA顧問になっているケースもある。つきつめていくと、任意団体の活動を業務時間中にするのは、職務専念規定に抵触するのだろうか、このあたりは法的にどう整理すればいいのか。教頭や校長は、保護者との面談は当然の業務の範囲で、PTAの適正な運営を促すことはむしろ積極的にやってほしいが。

木村 市長のご指摘の通り、「勤務時間中にPTA活動」というのは問題だが、職務として、協力団体に学校の代表として出ることは業務の範囲内。PTA会員としてではなく、学校長として出ているという形にしてくださいとなれば問題ないと思います。

――任意団体で、加入がいやなら拒否する署名を提出してください、「ノー」と言わないから「イエス(加入)」ですね、と運用しているケースは大丈夫なのかを教育委員会で調べているところだが、加入したと法的に言える条件は、入会書を書くことか、入会式に行くことなのか。

木村 団体入会は契約の一種なので、団体に入る側が「入りたい」と申し込みをし、団体がそれを承諾したときに入会が成立します。加入の意思が明確であれは、必ずしも書面は必要ありませんが、書面なしに意思が明確だったと証明するのは困難なので、申請書が出てきたときに加入の意思があると判断し、団体が承認する、というのが法的に明確な形です。

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筆者

木村草太

木村草太(きむら・そうた) 首都大学東京教授(憲法学)

1980年生まれ。著書に『憲法の条件――戦後70年から考える』(NHK出版新書)、『検証・安保法案――どこが憲法違反か』(有斐閣)『社会をつくる「物語」の力』(光文社新書)など。「強制加入は憲法違反」など専門の憲法を武器にPTA問題を斬る。