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望月衣塑子の質問(4)政府を動かした質問

「きちんとした回答をいただけていると思わないので、繰り返し聞いています」

臺宏士 フリーランス・ライター

拡大記者会見する菅官房長官

加計学園問題を巡る質問

 加計学園問題は、報道から約3カ月たった8月時点の焦点は、文科省の大学設置・学校法人審議会が獣医学部の新設を認める答申を出すかどうかだった。

 8月25日午前、望月記者は次のような質問をした。このときの記者会見の時間は全体で約30分間あり、このうち約7分間にわたり質問している。質問回数も10回。ほぼ二問に制限されている現在とは大違いである。加計学園問題に関する質問は八問目だった。

望月記者 最近になって公開されております、えー、加計学園の設計図、今治に出す獣医学部の設計図52枚ほど公開をされました。それを見ましてもバイオセキュリティーの危機管理ができるような設計体制になっているかは極めて疑問だという声も出ております。また、単価自体も通常の倍ぐらいあるんじゃないか、という指摘も専門家の方から出ています。こういう点踏まえても、今回えーと、学校の認可の保留という結果が出ました。本当に特区のワーキンググループ、政府の内閣府がしっかりと学園の実態を調査していたのかどうか。ここについていま、政府としてのご見解をお聞かせ下さい。
菅義偉官房長官 いずれにしろ、あのー、学部の設置認可については昨年11月および本年4月も文部科学大臣から大学設置・学校法人審議会に諮問しており、まもなく答申が得られる見込みであると聞いており、今の段階で答えるべきじゃないと思います。この審議会というのは、専門的な観点から公平公正に審査されている。こういうふうに思います。

 首相官邸のホームページにある官房長官会見の映像を見ると、望月記者の方を見て、質問に耳を傾けていたと思われる菅長官は、望月記者が「学校の認可の保留」と言及すると、上村室長が立っている上手の方向を一瞥する様子を確認することができる。

 案の定と言うべきなのか。7日後の9月1日、上村室長が篠ヶ瀬氏に出した文書は次のような内容だった。

 貴社の記者が質疑の中で、平成30年度開設の大学等についての大学設置・学校法人審議会の答申に関する内容に言及しました。正式決定・発表前の時点での情報の非公表は、正確かつ公正な報道を担保するものです。官房長官記者会見において、未確定な事実や単なる推測に基づく質疑応答がなされ、国民に誤解を生じさせるような事態は、当室としては断じて許容出来ません。貴社に対して再発防止の徹底を強く要請いたします

 上村室長名のこの文書は、申し入れた理由について、「文部科学省広報室から当室に対し、当室から内閣記者会駐在の貴社の記者に注意喚起を行うよう要請がありました」と説明している。

 前日の8月31日に文部科学省の三木忠一広報官は、東京新聞に対して、「(望月記者が官房長官会見で)言及のあった当該内容は、正式決定・発表前の時点のもので、当該記者会見の場という公の場において言及されることは、当該質疑に基づく報道に至らなかったとはいえ、事前の報道と同一のものとみなし得る行為であり誠に遺憾です」と批判し、「今後二度とこのようなことのないよう、再発防止策の真摯な実施を求めます」と申し入れているのだった。

 つまり、望月記者の質問は、官邸報道室と文科省広報室の二つから問題視されたというわけだ。

 とりわけ、上村室長は「未確定な事実や単なる推測に基づく質疑応答がなされ、国民に誤解を生じさせるような事態は、当室としては断じて許容出来ません」と望月記者を厳しい表現を使って批判したのだった。

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筆者

臺宏士

臺宏士(だい・ひろし) フリーランス・ライター

毎日新聞記者をへて現在、メディア総合研究所の研究誌『放送レポート』編集委員。著書に『アベノメディアに抗う』『検証アベノメディア 安倍政権のマスコミ支配』『危ない住基ネット』『個人情報保護法の狙い』。共著に『エロスと「わいせつ」のあいだ 表現と規制の戦後攻防史』『フェイクと憎悪 歪むメディアと民主主義』など。 

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