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Aマッソがお笑い業界を変えつつあるわけ/下

男性芸人たちから「尖っている」と評される存在感。媚びない女性芸人という新潮流

杉浦由美子 ノンフィクションライター

拡大村上愛(左)と加納愛子=撮影 平郡政宏(カウンタック写真部) 

Aマッソがお笑い業界を変えつつあるわけ/上

 前回はお笑い女性コンビAマッソの台頭で、若い女性の間でお笑いを志すムーブメントが生まれてきたことに言及した。〝女性性〟を武器にしないで、純粋に面白さを追求する。そういうAマッソの芸人としての姿に、若い女性たちが憧れ、お笑い界で新しいムーブメントが生まれている。若い女性芸人たちがAマッソに憧れ、独創的な漫才やコントをやりだしているのだ。それらはひどく荒削りだが、非常にフレッシュで魅力的なものにみえる。Aマッソ自身は今後どうなっていくのか。本人たちに訊いてみた。

 Aマッソは、賞レースで結果を出したことで注目されていった。つまり、男女関係なく、賞レースで結果を出すことは、若手芸人にとってやはり重要なことである。

拡大単独ライブ「欄編集長の逆接」(東京公演 8月30日、31日、伝承ホール。大阪公演 9月11日、12日、HEPホール)
 しかし、賞レースに焦点を当てて、ネタ作りをしていくことだけでは、自由さや多様性を失いかねない。Aマッソの加納も「今後は賞レースに縛られすぎないでネタを作っていきたい」という。

 加納は芝居を書きたいという構想ももっており、その前段階として、単独公演『欄(おばしま)編集長の逆説』(東京公演8月30日、31日伝承ホール。大阪公演9月11日、12日HEPホール)では尺が長いコントを披露する予定とのことだ。「今は漫才よりもコントの方が自由度が高い」(加納)。Aマッソの単独公演のチケットは入手困難で知られるが、今回も8月31日午後1時からの東京追加公演分をのぞいて完売となっている。

男性芸人たちから「尖ってるやつら」と評される

 そんな人気のAマッソはネタも存在感も「尖っている」と評されることが多い。お笑いメディアにファン、そして、男性芸人たちも「やつらは尖っている」という。

加納愛子=撮影 平郡政宏(カウンタック写真部) 拡大加納愛子=撮影 平郡政宏(カウンタック写真部) 
 本人たちはそれを意識はしておらず、村上は「そういわれやすい」とコメントをする。なぜ、そういわれやすいのか。M-1の準決勝や敗者復活でも、ベタなことはぜず、シュールで独創的なネタを披露するし、テレビ番組でも典型的な「女性芸人のリアクション」をとらない。

 「テレビの仕事にはこだわらないですね。地上波で冠番組を持てたらとは思いますが、そこだけを目標にしてやってきていないです」(加納)


 最近のバラエティ番組では、女性アイドルが進出しており、女性芸人のポジションを奪っているようにもみえるがと訊くとこう返ってきた。

拡大村上愛=撮影 平郡政宏(カウンタック写真部) 
 「アイドルはアイドルなのでさほど面白くないシーンがあったとしても許されるんです。女芸人の場合は面白いのが前提なので求められるハードルがとても高い」(加納)

 確かに女性アイドルたちは、若い女というポジションで他の出演者に対してちょっと毒舌な物いいをするだけで笑いがとれる。しかし、女性芸人が受けるためにはもっと高度なツッコミやボケが要求される。

 「分かりやすいキャッチコピーがないともいわれますが、それをつけてしまうとそこに寄っていかないといけない。無理にそうしていくのはどうかと」(村上)

 求められることに応えるのではなく、あくまでも自分たちが面白いと思うものを追い求める。それがAマッソのあり方であり、魅力のようだ。

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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