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中学受験の費用高騰と難関校のいじめ増加/上

憧れの超名門校で、なぜ、いじめが深刻化しているのか

杉浦由美子 ノンフィクションライター

拡大入試会場に向かう子どもたち(写真は本文とは関係ありません)

現在は中堅校でのいじめは減っている

 なぜ、いじめはなぜ起きるか。それは自己肯定感が低い人間が、他者をいたぶることでストレスを発散したり、プライドを守ろうとしたりするからだ。

 ある有名企業では女性間のいじめがすさまじく、若い女性社員がみな辞めていくという。かつては輝いていた企業だが、現在は斜陽で待遇も悪くなっている。優秀な人材はどんどん転職していく。そうなると、どこにもいけない人間が残って、未来がある若い社員をいたぶるわけだ。ちなみにこの企業はマタハラもひどく、出産後に職場復帰できないケースも多い。

 これは学校でも同じだ。私が6年ほど前に取材した時に、大手中学受験塾の関係者がこう話していた。

 「進学実績が高い難関校や進学校の生徒は、自己肯定感が高いし、目標に向かってまっしぐらだから、いじめをしない。中堅校は生徒に目的を持たせることが重要。ちゃんとケアをすることが必要になる」

 実際、女子校出身者たちを取材していても、偏差値上位の難関校や進学校ではいじめの話はほぼ聞かなかった。入学当初は少し揉めるが、放置してもだんだん落ち着いていく。反対に中堅校の一部では「その場にいない子の荷物を漁る」といったいじめが慢性化していた。そのため、中堅校では徹底したいじめ対策がされ、現在は中堅校でのいじめは減っている。

 そして今、いじめが深刻化しているのは難関校や進学校といった偏差値上位の名門校だ。受験生や保護者にとっての憧れの学校ほど、いじめが発生し問題になっているのだ。

 都内のある進学男子校では、いじめに手を焼き、受験申し込みの時点で、成績表のコピーを提出させている。それで小学校時代の素行がある程度、確認できるからだ。また、超名門難関男子校でもいじめの加害者と被害者がもみ合って大けがをしたという事件が発生した。それ以外にも難関大学の付属中学や難関女子校、ミッション系進学女子校等々でも深刻ないじめが起きているという情報もある。

 なぜ、これらの〝憧れの学校〟でいじめが発生し、危機的な状況に陥るのか。2回に分けて、この理由を探っていきたい。1回目はその原因のひとつとして、中学受験の高騰を考えたい。「なぜいじめと受験費用の高騰が関係あるのか」と思う読者の方もいるだろう。しかし、これはやはり関係があるようにみえるのだ。

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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