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京都の世界遺産 追加すべきか、このままでいいか

世界遺産ブランド超えた京都ブランド。宮内庁管理や漏れている寺社に価値はないのか?

筒井次郎 朝日新聞記者

 今年7月に登録された「百舌鳥・古市古墳群」を含めて計23件となった日本の世界遺産。その代表として真っ先に思い浮かぶのは、姫路城、屋久島、そして京都。今回は、多くの人が知っているはずの京都の世界遺産について考える。

京都の世界遺産17カ所言えますか?

 まずは<問題>。京都にある次の寺社のうち、世界遺産でないのは?

A.真っ赤な鳥居のトンネルが続く「伏見稲荷大社」
世界遺産4拡大連なる鳥居が写真映えし、海外からも人気の伏見稲荷大社=京都市、筆者撮影

B.石川五右衛門の『絶景かな』で有名な三門がそびえる「南禅寺」
世界遺産4拡大紅葉も美しい南禅寺の三門=京都市、筆者撮影

C.千体の黄金の観音像が並ぶ「三十三間堂」
世界遺産4拡大三十三間堂に並ぶ木造千手観音立像=2018年10月2日午後、京都市東山区、加藤諒撮影

 答え。すべて世界遺産ではない。

 「京都の世界遺産」といっても、京都にある歴史的な建物がすべて世界遺産なのではない。登録名は「古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)」。登録名の3市にある17の寺社と城が、構成資産だ。

世界遺産4拡大東寺の国宝・五重塔。江戸時代の再建で、国内で最も高い五重塔だ=京都市、筆者撮影
 具体的には、①上賀茂神社、②下鴨神社、③東寺、④清水寺、⑤延暦寺(大津市)、⑥醍醐寺、⑦仁和寺、⑧平等院(宇治市)、⑨宇治上神社(同)、⑩高山寺、⑪西芳寺、⑫天龍寺、⑬金閣寺、⑭銀閣寺、⑮龍安寺、⑯西本願寺、⑰二条城――の寺13カ所、神社3カ所、城1カ所が該当する(大津市、宇治市以外は京都市)。

 なぜ、この17カ所だけなのだろうか。三十三間堂や伏見稲荷大社よりも、知名度や参拝者の数が少なそうな寺社もあるが・・・・・・。

遅い参加

 日本が世界遺産条約を批准したのは1992年。ユネスコで世界遺産条約が発効して20年後、世界では125番目という「遅い参加」だった。

 同じ年、政府は世界遺産の候補となる「暫定リスト」を作成し、文化庁は、文化遺産候補として法隆寺や姫路城、厳島神社などと並び、「古都京都の文化財」を選んだ。リストの中から、法隆寺と姫路城が日本最初の文化遺産として翌93年に登録された。

 この2カ所がたった1年で世界遺産になったのは、世界的にみても優れた建物であることはもちろんだが、登録資産が単体または少なく、建物が文化財保護法に基づく国宝、かつ土地が史跡(特別史跡)で、法的な保護が十分に担保されていたためだ。

 次の1994年の登録候補として白羽の矢が立ったのが「古都京都の文化財」だった。平安遷都のあった794年から1200年の節目だったのだ。

 暫定リストの掲載から登録までわずか2年。文化財の宝庫である京都で、どれを世界遺産にするかは難しい作業だった。

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筆者

筒井次郎

筒井次郎(つつい・じろう) 朝日新聞記者

1993年朝日新聞社入社。京都や奈良、姫路など世界遺産のある総局や支局に赴任。現在は延暦寺(世界遺産)や彦根城(世界遺産候補)を抱える滋賀県の大津総局に勤務。寺社や遺跡、それを守る人々への取材を重ねる一方、1997年にライフワークとして始めた世界遺産めぐりは52カ国409件を訪問済み。育児休業を3度、計11カ月取得し、子育て世代の取材にも関心がある。

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