メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

体操・内村航平、ケガと闘いながら東京五輪目指す

増島みどり スポーツライター

拡大ゆかの演技をする内村航平=2019年8月30日、福井県営体育館

126日ぶりの試合で痛恨の落下

 8月30日、体操の「全日本シニア選手権」が行われた福井県県営体育館には、想像をはるかに超える観客が詰めかけていた。ロンドン、リオデジャネイロ両五輪で個人総合2連覇を果たした内村航平(30=リンガーハット)にとって、肩痛から今年4月の全日本個人総合選手権で予選落ちをして以来、126日ぶりとなる再起戦だった。

 予選落ちした全日本では、平行棒の演技中にすでに痛みを抱えていた肩に激痛が走り、棄権かと思われたが最終種目の鉄棒までやり抜いた。しかしその後、痛みは長年の酷使による深刻な「金属疲労」によるものと判明し、より良い治療を求めて病院、ケア方法を見付け、夏前にはようやく痛みが少し和らいでいたという。

 今大会は、今年の世界選手権で代表になれなかった五輪チャンピオンにとって、東京五輪に向けて代表入りするための別ルートに挑戦する第1歩となる。メディア関係者の数も100人を超えるなか、最初の種目「ゆか」では代名詞と言われてきた絶対的な「着地」を決め、世界選手権代表の萱和磨、谷川航(ともにセントラルスポーツ)を抑えて14.800の高得点でトップ。順調に滑り出したかに見えた。

 ところが、2種目のあん馬で、4月の全日本同様に落下してしまう。つまずきは残り4種目にも徐々に影響を及ぼす。ラスト6種目目の鉄棒でもスピードに乗りきれず一瞬動きが止まるミスが起き、結局、83.900の5位に終わった。肩の方は順調に快復し大会への準備が進んでいたが、2週間前に今度は「ぎっくり腰のような症状」にも見舞われた。「言い訳にならないし、クスリが効かないと分かっているけれど……」と、激痛に痛み止めを服用していた事実を試合後明かした。

 ここで優勝を果たし11月の個人総合のワールドカップで好成績を収めれば、来年、東京への出場権を争う国際試合に出場可能となる。描いていた別ルートでのチャレンジが消えたためか、試合後の自己採点は、審判団よりもはるかに厳しいものだった。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
Journalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

増島みどりの記事

もっと見る