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外国人指導者が変える日本ラグビー【5】

その言葉から読み取れる「日本人論」

西山良太郎 朝日新聞論説委員

 間もなく開幕するラグビーW杯。日本代表はニュージーランド出身のジェイミー・ジョセフ氏の指揮のもとで臨む。指導者から考える日本ラグビーの現在地はーー

外国人指導者の深い日本人論

 スポーツを取材していると、外国人指導者の言葉に魅了されることがある。

 とくに団体競技を指導するコーチたちの言葉に、そんな力を感じることが多い。多様でいて、深遠な日本人論が、そこからにじみ出てくるからだ。

 「日本人は平均的な地位、中間に甘んじるきらいがある。野心に欠ける。これは危険なメンタリティーだ。受け身過ぎる。(精神的に)周囲に左右されることが多い。フットボールの世界ではもっと批判に強くならなければ」(『オシムの言葉』集英社インターナショナル)

 こう言ったのは、サッカーのJリーグ・ジェフ千葉の監督を務めたイビチャ・オシムさんだった。

ラグビーW杯サッカー日本代表を率いたイビチャ・オシム氏

 母国ユーゴスラビアを率いて1990年W杯で8強に進出。03年に、請われて当時低迷していたジェフ千葉の監督となり、3年目でナビスコカップ優勝を果たした。翌年、W杯南アフリカ大会を目指す日本代表監督に招かれた。

 脳梗塞で倒れ、在任わずか1年あまりでその立場を離れることになるが、深い考察はサッカーを語りながら、国際社会や歴史、国民性、戦争、生活といった多様なテーマへと広がり、聞く人の心をひきつけた。

 アジアでは初めての開催となるラグビーのワールドカップ(W杯)でも、日本はその行く道を外国人ヘッドコーチ(HC)に委ねた。

 ジェイミー・ジョセフさん。ラグビー王国ニュージーランドで生まれ育った49歳である。ジャンピエール・エリサルド、ジョン・カーワン、エディ・ジョーンズの各氏に続いてのケースとなる。国内のラグビーでは、HCも監督も、ほぼ同じ立場を指す名称として使っている。とくに日本代表の外国人指導者には、HCが使われることが多い。

ラグビーW杯W杯前の南アフリカ戦に向けて調整する日本代表を見守るジェイミー・ジョセフHC=2019年9月5日、埼玉県熊谷市の熊谷ラグビー場、西畑志朗撮影

 

外国人指導者をめぐる紆余曲折

 少し時計を巻き戻してみよう。

 日本で外国人監督を待望する声が強くなったのは2000年代前半だったと記憶している。そこには少なからず曲折があった。

 99年の第4回W杯は、現役を引退したばかりの平尾誠二さんが監督に抜擢された。80~90年代を象徴する日本代表バックスの名手で、神戸製鋼では7年連続日本一を達成した、実績、人気ともに日本のトッププレーヤーだった。だが大会では3連敗、勝利を手にすることはできなかった。

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