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日雇い労働者のため、敷居の低い診療所を開設

拡大ことぶき共同診療所の診察室で語る越智祥太さん
 越智さんが勤めることぶき共同診療所は、1996年、元院長の田中俊夫さんが中心となり、「寿の住人に必要な医療サービスを提供する」という趣旨に賛同した市民から寄付を募って開設された。

 寿町で長年、医療・福祉分野の支援活動に取り組んできた田中俊夫さんは、当時、寿町の日雇い労働者にとって一般の医療機関への受診へのハードルが高く、治療中断も多いため、一般地域の人々に比べて、かなり若年で死を迎えてしまう人々が多いことに胸を痛めていた。そのため、「何とか医療をもっと身近な、隣の家に行くように気軽に掛かれるものにしていきたい」という思いから、敷居の低い診療所を開設したという。

 現在では、精神科、内科、整形外科の診療に加え、鍼灸院、精神科デイケアも併設されており、地元の介護事業所や訪問看護ステーション等とも連携をしながら、総合的な支援体制を作り上げている。

 越智祥太さんは大学時代から山谷地域の支援活動に関わり、1990年代後半から寿町に関わるようになった。

 「寿町は、三大寄せ場の一つですが、釜ヶ崎や山谷に比べると歴史は古くありません。横浜ではかつて桜木町の野毛地区に職安があり、木賃宿が並んでいました。ところが、横浜の玄関である桜木町に低賃金労働者が集まっているのは、見栄えが悪いということで、1956年に職安が人工的に移され、ドヤも移ってきて町が形成されました。作られたのが遅い分、集住しているのが特徴で、狭い地域に住民票のない人も含めると約6000人が暮らしています」

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筆者

稲葉剛

稲葉剛(いなば・つよし) 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。 1969年広島県生まれ。1994年より路上生活者の支援活動に関わる。2001年、自立生活サポートセンター・もやいを設立。幅広い生活困窮者への相談・支援活動を展開し、2014年まで理事長を務める。2014年、つくろい東京ファンドを設立し、空き家を活用した低所得者への住宅支援事業に取り組む。著書に『貧困の現場から社会を変える』(堀之内出版)、『鵺の鳴く夜を正しく恐れるために』(エディマン/新宿書房)、『生活保護から考える』(岩波新書)等。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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