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優勝候補に金星、日本代表の躍進のわけ【6】

番狂わせが少ないラグビーというスポーツ

西山良太郎 朝日新聞論説委員

 アジアで初めてとなるラグビーのワールドカップ(W杯)が開幕した。

 当初、関係者がもっとも案じていたのは、日本がどのくらい活躍できるか、だった。大会の盛り上がりは主催国チームの活躍に大きな影響を受けるからだ。

 日本は開幕のロシア戦に続き、過去9回の対戦で一度も勝ったことがなかった優勝候補の一角、アイルランドを破った。驚くべき好スタートである。

ラグビーW杯拡大アイルランドを破り、2大会続けての番狂わせを演じ、スタンドと喜びを分かち合う日本代表=2019年9月28日、静岡・エコパスタジアム、福留庸友撮影

アイルランド戦の「金星」

 アイルランド戦のあと、日本の選手からはこんなコメントが出た。

 「日本が勝つと信じていたのはスタッフと選手たちだけじゃないでしょうか」

 まったく、選手の健闘の前には脱帽するしかない。ラグビー取材の経験がある記者たちはもちろん、ラグビーファンを含めて、日本の勝利を想定できた人は少なかったろう。私自身、アイルランドを相手に接戦に持ち込むことはできても、勝つのは難しいのではないかと思っていた。深く不明を恥じたい。

 ラグビーでは世界ランクのほかにティア1、2、3というクラス分けがある。
ティア1は戦績に加えて伝統や歴史的な経緯を考慮し、総合的な実力の評価としてニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンの南半球4カ国と、イングランド、アイルランド、ウェールズ、スコットランド、フランス、イタリアの北半球6カ国を合わせた計10カ国で構成されている。

 次のティア2は日本、フィジー、サモア、トンガ、ロシア、カナダ、ウルグアイ、ナミビア、米国、ジョージアを含む13カ国。W杯に出場はするが、決勝トーナメント進出は難しい中堅国という扱いだ。さらにティア3は、なかなかW杯には出場できない「ラグビー途上国」という分類になっている。

 だから、まだ強国扱いされるようになって歴史の浅いアルゼンチンとイタリアをのぞき、かつて「主要8カ国」と称されてきたティア1の伝統国を倒せば「金星」と表現したくなる。逆に彼の地のファンやメディアからすれば、痛恨の「番狂わせ」である。

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筆者

西山良太郎

西山良太郎(にしやま・りょうたろう) 朝日新聞論説委員

1984年朝日新聞社入社。西部(福岡)、大阪、東京の各本社でスポーツを担当。大相撲やプロ野球、ラグビーなどのほか、夏冬の五輪を取材してきた。現在はスポーツの社説を中心に執筆。高校では野球部、大学時代はラグビー部員。

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