メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

ペットに何を食べさせる?

おいしいもの、体にいいもの、と考えるが

梶原葉月 Pet Lovers Meeting代表、立教大学社会福祉研究所研究員

ペットフードにもお国柄

ペットの食事拡大Radu Bercan / Shutterstock.com

 私は研究会などで海外に行くと、必ずスーパーやホームセンターに行って、ペットフードのコーナーを隅々まで眺める。欧米では猫のフードも原材料は肉が中心で、アメリカではバーベキュー風味の牛肉、ニュージーランドではオーガニック羊肉などなど、猫のフードといえども、その国の食文化を反映したものがほとんどで、とても興味深いのだ。

 国内のペットフードも変遷はある。

 猫の飼い主の方はお気づきと思うが、最近日本のウエットタイプの(つまりドライフードではない)キャットフードは、とにかくスープものが多い。魚介のコンソメやまぐろ出汁(だし)、かつお出汁、チキンスープ、ペーストなどなど、10年前にはほとんど見かけなかった「汁もの」、あるいはチューブから出す「とろみペースト」の商品がペットフードコーナーのメインになっていたりする。

 犬のフードもスープものはあるけれど、猫のフードのスープ化は劇的だ。もちろん動物たちの高齢化が背景にあるだろうが、うちの猫たちは若いのにスープ好きなので、ひょっとして時代によって味覚に流行(はや)りがあるのかとも考えてしまう。

 ドライフードは、犬用も猫用も、年齢を区切ったもの、健康への機能性をうたったものなどであふれていて、いったい何を食べさせたらいいのか迷うこともあるだろう。消化器にいいとか、腎臓病や結石に配慮とか、体重コントロールとか、パッケージにいかにも体に良さそうなことが書いてあると、どうしても飼い主としては、何も書いていないものよりいいのかなと、気にせずにいられない。

 獣医師の中にも、食べ物に関して厳しい指導をする先生がいる。動物病院で販売しているあるペットフードを強く勧め「これだけを毎日量を計って食べさせてください」と言う獣医師に、私も出会ったことがある。必要な栄養はすべてバランス良く含まれているので、それだけを食べさせれば長生きするというわけだ。

 これと全く同じ話を、他の場所でも聞いた。ある動物関係学会で、大手ペットフードメーカーの元幹部が、そっくり同じことを言っていたのだ。

 大手のペットフードメーカーは資金力も絶大で、もちろん様々な研究でデータを蓄積しているのも事実だが、一方ではその資金力で多くの学会やセミナー、さらには営業担当者やWEBマーケティングを通じて、このような考え方を獣医師にも飼い主にも普及させていることは間違いない。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

梶原葉月

梶原葉月(かじわら・はづき) Pet Lovers Meeting代表、立教大学社会福祉研究所研究員

1964年東京都生まれ。89年より小説家、ジャーナリスト。99年からペットを亡くした飼い主のための自助グループ「Pet Lovers Meeting」代表。2018年、立教大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。近著『災害とコンパニオンアニマルの社会学:批判的実在論とHuman-Animal Studiesで読み解く東日本大震災』。横浜国立大学非常勤教員、日本獣医生命科学大学非常勤講師。

梶原葉月さんの公式サイト

梶原葉月の記事

もっと見る