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開成高校が奨学金で生徒を囲いこむわけ

最難関校も生き残りをかけ必死

杉浦由美子 ノンフィクションライター

難関校開成が打ち出した秘策はうまくいっているのか

 豊島岡女子学園の高校入試廃止の記事(「豊島岡女子の高校募集廃止と教育格差 上」)で、首都圏の女子の高校入試事情について説明した。今回は開成高校の新入生向け奨学金制度について言及することで、男子の高校入試の現状についてみていきたい。

 開成中学校・高等学校は東京の西日暮里にあり、東大や国立医学部への進学者が多いことで知られる。この超難関男子校は2015年から高校の新入生のために奨学金制度を設けた。この奨学金制度を来年からさらに拡大するという。中堅校が優秀な生徒を獲得するために〝授業料ゼロ〟の特待生制度を設けることは多々ある。しかし、開成は最難関校だ。黙っていても学力の高い生徒が入ってくるはずだ。なのにどうして奨学金制度を始めたのか。

拡大開成高校の入学試験を終え、校外でに出てくる受験生たち=2017年2月10日、東京都荒川区

学校側曰く「生徒の多様化のための制度」

 まず、2015年から始まった「開成会 道灌山奨学金」の内容をみてみよう。高校の新入生向けの制度で、受験前に申請をする。応募資格は年間所得218万円以下または給与収入のみの場合収入額400万円以下の世帯の子弟で、合格した際は必ず開成高等学校に入学する意志を持つ者だという。募集人数は約10人で、応募がそれを大きく超えた場合は抽選となる。授業料や施設維持費などが免除され、3年間でPTA会費や修学旅行費等々の40万円ほどの負担で済むという。ちなみに財源は卒業生の同窓会『開成会』からの寄付でまかなう。

 この奨学金制度を来年から中学の新入生にも拡大することが週刊誌で取り上げられた。

 2019年9月23日号の「AERA」(朝日新聞出版)では同校の担当者がこうコメントをしている。「経済的に苦しくても志の高い生徒に入学してほしい。奨学金を支給することで、生徒の多様化につなげたい」 (※)

 奨学金制度を中学入試にも拡大するという発表に対し、首都圏で中小の塾を経営する人物はいう。「高校の奨学金制度がうまく機能し、優秀な生徒の確保ができてるから、中学にも導入しようということでは」

 さて、この高校の新入生向けの奨学金はどう機能しているのだろうか。

※同号73ページ「中学受験激化の背景に高校募集停止」

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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