メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

八ツ場ダムは本当に利根川の氾濫を防いだのか?

治水利水の両面で必要性は失われている

嶋津暉之 水源開発問題全国連絡会・共同代表

利根川の上流部と下流部の状況は

 以上、利根川中流部についてみたが、本洪水では利根川の上流部と下流部の状況はどうであったのか。利根川は八斗島(群馬県伊勢崎市)より上が上流部で、この付近で丘陵部から平野部に変わるが、八斗島地点の本洪水の水位変化を見ると、最高水位と堤防高の差が上述の栗橋地点より大きく、上流部は中流部より安全度が高く、氾濫の危険を心配する状況ではなかった。

拡大利根川の増水で冠水し通行できなくなった道路=2019年10月13日、千葉県銚子市唐子町

 一方、利根川下流部では10月13日午前10時頃から水位が徐々に上昇し、河口に位置する銚子市では、支流の水が利根川に流れ込めずに逆流し、付近の農地や住宅の周辺で浸水に見舞われるところがあった。八ツ場ダムと利根川下流部の水位との関係は中流部よりもっと希薄である。八ツ場ダムの洪水調節効果は下流に行くほど小さくなる。

 前述の国交省の計算では下流部の取手地点(茨城県)での八ツ場ダムの洪水最大流量の削減率は1%程度であり、最下流の銚子ではもっと小さくなるから、今回、浸水したところは八ツ場ダムがあろうがなかろうが、浸水を避けることができなかった。浸水は

・・・ログインして読む
(残り:約2528文字/本文:約4544文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

嶋津暉之

嶋津暉之(しまず・てるゆき) 水源開発問題全国連絡会・共同代表

1943年生まれ。東京大学大学院工学系研究科博士課程単位取得満期退学。2004年年3月まで東京都環境科学研究所勤務。八ッ場あしたの会運営委員。著書に『水問題原論』(北斗出版)、『やさしい地下水の話』(共著、北斗出版)、『首都圏の水が危ない』『八ッ場ダムは止まるか』、『八ッ場ダム 過去・現在そして未来』(以上共著、岩波書店)などがある。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです