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助成金不交付~官僚とメデイアに広がる同調圧力

映画「i-新聞記者ドキュメント-」に寄せて、河村プロデューサーが問う

河村光庸 映画プロデューサー

権力者の直接的な専横よりも危ない状況

 しかし、この一連の決定の判断に官邸権力の介入が直接あったのでしょうか?

 一部メディアでは、6月末に公開された私のプロデュース作品である映画「新聞記者」のヒットに対して、それを気に入らない官邸が直接的圧力を加え、助成金の内定取り消しに繋がったと見る向きがありますが、私はそのようには受け止めていません。

 実際に「新聞記者」も今月公開の「i-新聞記者ドキュメント-」も制作中に政治的な圧力がかかったということはなく、「宮本から君へ」も同様です。

 そこには、もって恐るべき「暗雲」が巨大怪物のように横たわっているのです。

 官邸の一極支配は、私たちが持つ「群れる」「空気を読む」という極めて日本的気質を巧みに利用し、「同調圧力」「忖度」のムードを霞が関とそれを取り巻くメディアに蔓延させ、日本の社会全体、私たち一人ひとりにもいつの間にか浸透させていたのです。

 本件も官僚が見えない権力の意向を忖度し、勝手に自主規制をしているだけかもしれないのです。そのことは権力者の直接的な専横より、もっともっと危ない状況であることは歴史が証明しているといえるでしょう。

 最近ではモリカケ問題に関しての官僚の公文書改ざん、古くは戦前の日本における軍の暴走、ナチスのユダヤ人虐殺など、現れた事象は違いますが、その構図はよく似ているのです。

 命令されたわけではないのに上層部の意向を忖度し、それがどんどん下部に広がり、より過度な自主規制、過激な暴走へと繋がっていく。そして同調圧力が個と個を分断して対立へと追いやり、最終的には社会全体が不寛容になって自由が失われてしまう。

 世の中が危険な方向へ一気に突っ走って行くときのメカニズムです。

拡大©2019『i –新聞記者ドキュメント-』

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筆者

河村光庸

河村光庸(かわむら・みつのぶ) 映画プロデューサー

1949年生まれ。94年に青山出版社、98年にアーティストハウスを設立し数々のヒット書籍を手掛ける一方、映画出資にも参画し始め、映画配給会社アーティストフィルムを設立。08年にスターサンズを設立し、『牛の鈴音』、『息もできない』(08)などを配給。エグゼクティヴ・プロデューサーを務めた『かぞくのくに』(11)では藤本賞特別賞を受賞。ほか企画・製作作品に『あゝ、荒野』(16)、『愛しのアイリーン』(18)など。

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