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#被災地農家応援レシピ の物語

台風で被災した農家をレシピで救おう!製菓や調理のプロがツイッターで集結

村山恵二 朝日新聞記者

 台風で被災した農家を、作物を買うことで支援したい。

 ただ「買って」と頼むのではなく、料理や製菓のプロがレシピを公開して、食材のおいしい食べ方を知ってもらえばいい。

 こんな動きがツイッターを中心に広がっている。

 注目すべき点は2点ある。

 超一流のプロが炊き出しを行うといった支援はこれまでもあったが、人力ではなくレシピという「ソフトウェア」の力で運動が広がったこと。

 そして、知らなかった者同士を「#被災地農家応援レシピ」という一つの目的で即座につなげたのは、国際電話やメールではなく、ツイッターだったこと。

 運動は日に日に発展し、全国のシェフやパティシエを巻き込んで、食の力で被災農家を支援する「Cook for Japan」というチームが結成されるほどに発展した。

拡大今回の動きのきっかけとなった10月23日の神谷さんのツイート(左) クレールマリさんと神谷隆幸さん夫婦(右)=本人提供

南仏ニースのシェフのつぶやきから始まった

 はじまりは、愛知県出身で南仏のリゾート地・ニースでフランス料理店を経営していた(移転準備中)シェフの神谷隆幸さん(40)のつぶやきだった。

 神谷さんは10月23日、ツイッターで「被害に遭われた農園のりんごをまだ買えるならそこで買ってタルトタタン作ってくれたらちょっと嬉しいです。たくさん消費できるので」(一部略、以下同様)とつぶやいた。

 妻のクレールマリさん(28)は、イチゴのコンフィチュールが世界一になったパティシエールで、オンラインの菓子教室もやっている。神谷さんは、教室の生徒さんが習ったばかりのタルトタタンをツイッターで披露したのを見た時、日本の台風被害の写真が何枚も目に飛び込んできた。

 ウェブニュースで農業被害が大きいことを知り、「生徒さんは、被災した農家からリンゴを買ってほしい」と考えた。ツイートに添えた写真のタルトは直径20センチ、8人分だが、リンゴを12~14個も使うから、リンゴの消費に役立つと考えた。

 いろいろ考えた末、被災農家からリンゴを買った伝票などの写真をDM(ダイレクト・メッセージ)で送ってきた人に、クレールマリさんのタルトタタンのレシピを返信することにした。これまでに約190人が写真を送ってきた。

 神谷さんの願いは農家に届いた。今月6日、生産者が発送する農家のオンライン販売所「食べチョク」を運営する、ビビッドガーデン代表取締役CEOの秋元里奈さんは「今回、神谷シェフのご協力により(長野県のリンゴ)1000kg分がものすごいスピードで売り切れました。本当にありがとうございます」とツイートした。

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筆者

村山恵二

村山恵二(むらやま・けいじ) 朝日新聞記者

地域紙記者を経て、1991年に朝日新聞社入社。初任地は鹿児島支局(現総局)。武雄通信局(現支局)、新庄通信局(同)、つくば支局を経て、東京本社では整理部、選挙事務局などで勤務。その後も宮古支局、函館支局、東京社会部(町田支局)、大和駐在(相模原支局)、川崎支局、秋田総局など地方勤務が中心。2019年5月から鹿島支局。共著に「妄信 相模原障害者殺傷事件」など。

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