メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

幸せな「聖地巡礼」のために必要なこと

ファンはあくまで風景を借りているにすぎないから

赤木智弘 フリーライター

実在の喫茶店がアダルトゲームの風景に

拡大アニメ映画「君の名は」で描かれた須賀神社の階段で記念撮影するドイツからの観光客=2018年8月2日、東京都新宿区

 小山ロールなどで知られる兵庫県の洋菓子店「パティシエ・エス・コヤマ」の店の外観が、12月下旬に発売予定のアダルトゲーム「喫茶ステラと死神の蝶」という作品に使用されているということがわかった。

 神戸新聞の記事によると、店側は店舗の外観使用の許可はしておらず、発売後の抗議を検討しているとしていた。この報道を受けて、制作側である「株式会社ユノス」は、ゲームを発売するブランド「ゆずソフト」のサイト上で該当箇所の背景画像をすべて差し替える対応をする旨を発表した。なお、この作業に伴う発売日の変更などは無いという。

 まず、明確にしておくべきは、ゆずソフトがゲーム内でエス・コヤマの店舗外観を利用したことは、決して法的にも慣例的にもアウトでは無いということだ。

 美術品でない建築物の外観には著作権法は適用されず、またゲームなどの舞台として実在の建物や風景などを利用することはアダルトゲームだけではなく、一般のゲームやマンガでも普通に行われていることである。もし、エス・コヤマの外観が、街の風景として描かれていたり、また主人公とヒロインたちのデートの舞台として描かれているだけなら、それを批判するのは行きすぎであろう。

 ただし、今回の場合、エス・コヤマの外観を使用した「喫茶ステラ」はゲームのタイトルにもなっているように、主人公やヒロインが働くメインの舞台として扱われており、お店とゲーム内容の結びつきは非常に強い。主人公やヒロインが働く店なので、当然店内でアレヤコレヤがあることは想像できる。メーカーサンプルとして出回っているスクリーンショットを見るに、店内であろう場所で性的行為をしているものもある。

 生菓子を扱うお店なのだから、当然衛生管理に力を入れており、わずかでもこのような混同があることは、当然エス・コヤマにとっては迷惑でしか無いだろう。

 エス・コヤマ側は神戸新聞の取材に対して「(制作側に)許可していないということは皆に知ってほしい」と答えており、決して高圧的に批判しているわけではない。なので、問題としてはゆずソフト側が外観を変更することを発表した時点で、なんとか丸く収まったと考えていいだろう。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

赤木智弘

赤木智弘(あかぎ・ともひろ) フリーライター

1975年生まれ。著書に『若者を見殺しにする国』『「当たり前」をひっぱたく 過ちを見過ごさないために』、共著書に『下流中年』など。

赤木智弘の記事

もっと見る