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眼鏡禁止騒動。どこが女性差別かわからないのだが

ドレスコードには合理的な理由があるはずだ

杉浦由美子 ノンフィクションライター

 テレビやネットニュースで、女性が眼鏡をかけることを禁止している職場があることが取り上げられ、「女性差別だ」という声が高まっている。加藤勝信厚生労働相もこの問題に触れ、「男女が同じ仕事内容の場合、男性はよくて女性はダメだというのは男女雇用均等法の趣旨に合っていない」といった。

 このニュースを小耳に挟んだ時、私も「なんてひどい」と思い、関連の記事に目を通した。すると、最初とは違う印象を持ち始めた。

 これは果たして女性差別なのだろうか。確かに、今でも「同僚の女の子が可愛いと男が頑張る。だから、女は顔で採用する」という企業はある。そういう職場で「女性は眼鏡禁止。男が萎えるから」というなら、それはれっきとした女性差別だろう。組織内部においては、男性も女性も対等なのに、男性の嗜好にあわせた外見を女性に強要するのはセクハラともいえる。

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男女でドレスコードは違って当然では

 だが、今回、眼鏡が禁止されていると話題になった仕事は、百貨店のインフォメーション係、美容クリニックの看護師、化粧品売り場の販売員等だという。ようは女性顧客をターゲットにしている接客業をしている人たちだ。女性顧客の嗜好やニーズに合わせ、眼鏡を禁止にしているわけで、ドレスコードの問題ではないだろうか。

 「受付などで男性は眼鏡をかけてもいいのに、女性だけはダメなのは女性差別だ」という主旨の指摘もある。しかし、男性と女性でドレスコードが違うのは当たり前ではないのか。働く上で、服装においては、男性のドレスコードは女性よりも縛りが強いだろう。男性は真夏でもスーツにネクタイが強制されることが多い。営業職の中には夏にワイシャツを何枚も持ち歩き、外回りの途中にネットカフェでシャワーを浴びるという男性たちもしばしばいるのだ。汗っかきの男性にとってはスーツ着用は拷問であろう。

 ただ、真夏にスーツを着ろと強制されても、身体に直接的な痛みはない。一方、眼鏡禁止でコンタクト強要となると、眼球というナイーブな部位に負担が大きいので問題になる。タレントの小倉優子が失明の危機に瀕し、その原因は20年間のコンタクトレンズの着用だと報じられた。パンプスの着用強要も問題になったが、これも足という痛みを感じやすい部位を痛めつけるから、あれほど話題になったのだろう。眼球や足に痛みがあると、仕事どころではなくなる。また、傷がついたり、骨を痛めたりしたら取り返しのつかないことになる。だから、パンプスやコンタクトの着用を強制するのは絶対に止めるべきだ。

 だが、それは女性差別だからではない。単純に健康を害するからだ。仮に眼鏡やスニーカーを解禁しても、職場はあまり変化ないはずだ。なぜなら、大半の女性スタッフはドレスコードを重視し、それらを着用しないだろう。

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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