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監視カメラで3書店が共同で万引き防止、成果は?

渋谷のジュンク堂などが撮影した万引き犯の画像を共有、導入3カ月での評価は分かれる

川本裕司 朝日新聞社会部記者

拡大監視カメラによる店内での撮影と個人データの共同利用などを伝える書店入り口の万引対策共同プロジェクトの告知文=2019年10月、東京都渋谷区

 万引き犯とにらんだ人物の画像を登録し、入店した際に警戒することなどで万引きを防ごうという取り組みが、東京都渋谷区の3書店で始められた。導入から3カ月間の状況が12月9日にまとめられ、万引き行為を確認した16人(17件)について顔認証データを登録し、このうち3人を取り押さえたという。同じ単行本やコミックが複数冊あるなど転売目的が約半数あった。出版物の売り上げ減と万引き被害に悩む書店が連携した全国初の試みは目を見張るほどの成果にはまだ届いていないが、引き続き運用を続けていくことにしている。

これまで登録した顔認証データは16人

 この取り組みは「渋谷書店万引対策共同プロジェクト」。渋谷駅近くにある啓文堂書店渋谷店、大盛堂書店、MARUZEN&ジュンク堂書店渋谷店が7月30日から始めた。万引きや盗撮、器物損壊、暴行・傷害、公然わいせつの犯罪を防ぎ、3店で過去に万引きをしたことが確実な人物の確認・警戒を目的にしている。

 同プロジェクト事務局によると、3店舗では以前から店内に監視カメラを据え万引きした人物の画像をそれぞれに所有していた。早い書店では5年ほど前から始めていた。プロジェクトでは7月末以降に万引きが確認された人物の画像を共有、来店時に警戒を強めることにしている。10月31日までに登録した16人については万引きを現場ですべて確認できたわけではなく、撮影後の画像によってわかった例が少なくないという。16人のうち1人は2店舗を訪れていた。

 登録した人物が来店するとアラームが鳴って警備担当者に連絡が入り、チェックや声かけをするようになっている。これまで大手書店チェーンなど個別の店舗で同様の仕組みはあったが、地域の複数の書店が顔認証データを共有したことはなかった。

拡大駅の改札口を利用した顔認証システムのデモンストレーション画像。グローリーの社員の顔を事前に登録して確認した=兵庫県姫路市
 今回の顔認証は、本物と偽物の真贋判定技術を生かした貨幣処理メーカーのグローリー(本社・兵庫県姫路市)が開発したシステムを利用した。顔のまゆからあごまでの100カ所で本人かどうかを確認している。画面から分析する情報量を増やし、斜めからの撮影などでも確認する確率を高めた。書店以上に導入されているのはドラッグストアやショッピングセンターで、全国で約500カ所に導入されている。他社も含めると約3000カ所近くになるのでは、という。

 顔の画像を登録した特定の人物を検知し、スムーズに対応できるシステムもつくられている。認知症の人がいる施設では、連絡なしに施設外に出たときにわかるよう玄関に検知システムを置く例があるという。

 プロジェクトの阿部信行事務局長は「登録件数は当初の予測よりも少し下回った。ただ店頭の実感としては、万引きが減っている手ごたえはない店舗と、かなり減っているという感触がある店舗に分かれている。プロジェクトの評価を下すのは時期尚早で、登録件数が増えていく中で機能していくと考えている」と話している。

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筆者

川本裕司

川本裕司(かわもと・ひろし) 朝日新聞社会部記者

朝日新聞社会部員。1959年生まれ。81年入社。学芸部、社会部などを経て、2006年から放送、通信、新聞などメディアを担当する編集委員などを経て、19年5月から大阪社会部。著書に『変容するNHK』『テレビが映し出した平成という時代』『ニューメディア「誤算」の構造』。

 

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