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新聞社説から見える「分断」が進んだ令和元年

即位礼、安倍最長政権、女川原発再稼働巡り二分する主張。2020年に求められるのは

徳山喜雄 ジャーナリスト、立正大学教授(ジャーナリズム論、写真論)

即位の儀式をめぐり二極化

 天皇陛下が即位を国内外に宣言する「即位礼正殿(せいでん)の儀」が10月22日、皇居・宮殿「松の間」でおこなわれた。この模様を在京紙は10月23日朝刊で報道。6紙ともに1面トップの特大記事で伝え、各紙の社説は21日から23日にかけて掲載された。

 読売社説(10月23日)は「一連の皇位継承の中心をなす伝統儀式が挙行されたことを心よりお祝いしたい」、産経社説(10月22日)は「心からのお祝いと感謝を、改めて申し上げたい」、日経社説(同)は「即位を心からお祝いするとともに、海外から寄せられた祝意に深く感謝したい」と、いずれも祝意を強調した。

 一方、朝日社説(10月23日)は「正殿の儀をめぐっても、天孫降臨神話に由来する高御座に陛下が立ち、国民の代表である三権の長を見おろす形をとることや、いわゆる三種の神器のうち剣と璽(勾玉)が脇に置かれることに、以前から『国民主権や政教分離原則にそぐわない』との指摘があった」と問題視した。

 毎日社説(同)も同様に「即位の儀式をめぐっては、宗教色を伴うとして憲法の政教分離原則との整合性を問う声もある。政府が十分な議論を避け、合計わずか1時間あまりの会合で前例踏襲を決めたことには問題が残る」とし、東京社説(10月21日)は「皇位継承に伴う重要儀式と位置付けられるが、『憲法にそぐわない』との声も。伝統儀式であれ、憲法との整合性に配慮が求められる」と訴えた。

 このように保守系メディアとリベラル系メディアとでは、ずいぶんと温度差のある社説を構えることになった。これ以外にも、朝日は実施された恩赦について「司法の判断を行政が一方的に覆す措置に反対論が根強かった」とし、さらに秋篠宮さまが昨秋の会見で「宗教色の強い儀式を国費で賄うことが適当か」と訴えた点を紹介、公費をあてることに疑問を呈した。

拡大「即位礼正殿の儀」で、即位を宣言する天皇陛下。奥は皇后さま=2019年10月22日、皇居・宮殿「松の間」

歴代最長政権でも分かれる評価

 安倍氏は51歳だった2006年9月、初の戦後生まれの首相として組閣。しかし、第1次政権は体調不良などで、わずか1年の短命に終わった。その後、12年12月の衆院選に勝利して民主党から政権を奪取。第2次以降の政権は7年におよぶこととなった。自民党総裁として任期は21年9月まであり、このままいけば歴代最長を更新し続けることになる。

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筆者

徳山喜雄

徳山喜雄(とくやま・よしお) ジャーナリスト、立正大学教授(ジャーナリズム論、写真論)

1958年大阪生まれ、関西大学法学部卒業。84年朝日新聞入社。写真部次長、アエラ・フォト・ディレクター、ジャーナリスト学校主任研究員などを経て、2016年に退社。新聞社時代は、ベルリンの壁崩壊など一連の東欧革命やソ連邦解体、中国、北朝鮮など共産圏の取材が多かった。著書に『新聞の嘘を見抜く』(平凡社)、『「朝日新聞」問題』『安倍官邸と新聞』(いずれも集英社)、『原爆と写真』(御茶の水書房)、共著に『新聞と戦争』(朝日新聞出版)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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