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働き方改革の余波でネットカフェが高級化するわけ

都心からカラオケボックスが減り、「防音鍵付き完全個室」のネットカフェが増える

杉浦由美子 ノンフィクションライター

予約をして防音完全個室で仕事をする

 ネットカフェは従来はパーテーションで区切られたブース席が中心だった。営業マンが時間をつぶしたり、終電を逃した人が朝まで過ごす場所だった。しかし、現在は「完全個室防音完備」を謳うネットカフェが増えている。

拡大「大人のための漫画喫茶・ネットカフェ」をうたう「Haily’5 Cafe」の個室。「デスクワークにもオススメ」と紹介されている=同社サイトから
 渋谷のセンター街の奥にあった従来型のブース席中心のネットカフェが去年閉店し、その場所に「完全個室防音完備」を謳うネットカフェ『Haily’5 Cafe』がオープンした。木目調のおしゃれな内装で、場所柄、若者のデートスポットとして活用されそうだが、ビジネスユーズも狙っていることだろう。平日3時間パックで税込1650円だ。近隣の従来型のブース席中心のネットカフェは平日3時間パックで1100円なので、割高といえよう。

 相変わらず日本はデフレだが、ネットカフェは格安店よりも高級路線の方が勢力が強くなっている。設備費や内装代を投資しても、そちらの方がビジネスマンがくるから利益が出るのだろう。実際、土日祝日に都心の駅チカのネットカフェには「完全個室防音完備」の部屋を予約して、利用するビジネスマンたちが見受けられる。30代ぐらいの働き盛りのサラリーマン風が多い。

 あるメーカーの中堅社員はいう。

 「土曜日の夕方ぐらいから同級生や同業者と飲み会がある時は、酒を飲む前にネットカフェで仕事をします。3時間パックを予約すれば、〝3時間で終わらせよう〟と集中力も高まります」

 彼がよく使うネットカフェ『バーグス』の完全個室の料金は、3時間1700円(週末料金)だ。予約して利用している。「店内がシックで落ち着くし、一昔前と違ってネットカフェのフリードリンクがおいしい。これも助かる」と話す。

 職場以外で仕事をする人たちを「ノマド族」と呼ぶ。フリーのエンジニアなどを指すと思っていたが、その多くは、実は働き方改革で、職場で仕事ができない人たちなのではないか。働き方改革で「残業をするな」と命じても、結局は労働時間は減っていない。それどころか、職場以外で仕事をするために、カフェ代がかかっている。残業代を減らされて、カフェ代の出費が増えるという悲惨な状況になっている。

働き方改革がリストラのツールに

拡大Shutterstock.com

 だが、持ち帰りで仕事ができる人はまだいい。さらに大変な事態になっているのは、仕事の持ち帰りができない場合だ。ある大手メーカーの社員は

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筆者

杉浦由美子

杉浦由美子(すぎうら・ゆみこ) ノンフィクションライター

1970年生まれ。日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)卒業後、会社員や派遣社員などを経て、メタローグ社主催の「書評道場」に投稿していた文章が編集者の目にとまり、2005年から執筆活動を開始。『AERA』『婦人公論』『VOICE』『文藝春秋』などの総合誌でルポルタージュ記事を書き、『腐女子化する世界』『女子校力』『ママの世界はいつも戦争』など単著は現在12冊。

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