メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

震災から25年、ヴィッセル神戸が初タイトル獲得

苦難を乗り越え「元祖ワンチーム」で、王者・鹿島を完封

増島みどり スポーツライター

拡大サポーターらを前に優勝報告をするヴィッセル神戸の選手ら=神戸市中央区

 5万7597人が詰めかけた新しい国立競技場には、19年12月の竣工式やセレモニーイベントとは全く異なった空気に包まれていた。サッカー天皇杯が2014年元日以来6年ぶりに国立競技場に戻って来た歓喜、2020東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場の「こけら落とし」への興奮と、21冠目を狙う鹿島、初タイトルを獲得しようとするヴィッセル神戸の勢い。快晴のもと行われた天皇杯決勝は、スタジアムとファン、ピッチ、選手が一体となって始まった。

 キャプテン・イニエスタの速い縦パスがベースとなり、時間を追うごとに神戸が攻守でリズムに乗る。18分には、昨夏、大分から移籍した藤本憲明が先制ゴールを奪う。後に鹿島DFに当たった「オウンゴール」で記録は修正されたが、GKが一度弾いたボールの先に詰めているのも、それが相手に当たってゴールとなったのも、悲願達成への意欲を証明するものだったのかもしれない。

 38分には、右サイドからゴール前に入ったボールを鹿島DFがクリアミス。藤本はつま先を目いっぱい伸ばしてこれを押し込む。大分在籍時も入れると鹿島から3ゴールを奪ってきた「キラー」がまたも鹿島を突き放し、神戸は早くも前半で優位に立った。引退する元スペイン代表のビジャに、わずかな時間でも「花道」を用意するためにも、前半の2-0は理想的な展開だった。

 かつてJ1に復帰を果たした14年、チームのスローガンを「ワンチーム、ワンファミリー、ワンドリーム」とし、選手、ファン、そして神戸も含めた一致団結を掲げた。ラグビーW杯で19年の流行語大賞を獲得した言葉は、実は神戸のほうが早く、そして長く(18年から同じ一致団結の後に、アジア№1クラブへ、と加えた)用いてきた実績がついに結実し、新しい国立競技場で初タイトルをつかんだ。

 18年にバルセロナから加入した世界的なスーパースター・イニエスタ、17年に移籍したポドルスキ(ドイツ代表)、19年にビジャ、サンピエール、ブラジルのダンクレー、ベルギー代表のフェルマーレンと外国籍選手を獲得。日本代表でロシアW杯に出場した山口蛍、ドイツから帰国した酒井高徳、鹿島の西大伍と移籍組にはかつてキャプテンを務めた経験のある選手たちが揃う。「スターばかりではまとまれない」と批判された苦しいシーズン最後の最後に「ワンチーム」を体現して見せた。クラブだけではなく、選手だけでもなく、苦しい時代にも見守り続けた神戸という町も、もちろん「ワンチーム」の一員だ。

論座トークイベント「日本ラグビーの未来を語ろう」参加者募集中 

 ラグビーワールドカップ日本大会の興奮から2カ月が過ぎ、国内ラグビーは新しいシーズンに入っています。国内最高峰のトップリーグは2020年1月12日に開幕、さらに2月1日から始まるスーパーラグビーでは、日本を拠点とするサンウルブズが南半球の強豪クラブと競い合います。ワールドカップで高まったラグビー人気と関心を一過性のものにさせず、今後も日本代表の活躍を見続けるためには、何が必要なのか。私たちファンには何ができるのか。共に考えていきましょう。日本ラグビー協会理事で法学者の谷口真由美さん、元日本代表の小野澤宏時さん、朝日新聞論説委員で元早大ラグビー部の西山良太郎記者が登壇します。

◆開催日時・場所
 1月28日(火曜)19時~21時(18時30分開場)
 朝日新聞東京本社 本館2階読者ホール(地下鉄大江戸線築地市場駅すぐ上)
定員・参加費 
 定員80人 参加費 1500円
申し込みや詳しい内容
 Peatixの「論座」のページへ(ここをクリックしてください)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

増島みどり

増島みどり(ますじま・みどり) スポーツライター

1961年生まれ。学習院大卒。84年、日刊スポーツ新聞に入社、アマチュアスポーツ、プロ野球・巨人、サッカーなどを担当し、97年からフリー。88年のソウルを皮切りに夏季、冬季の五輪やサッカーW杯、各競技の世界選手権を現地で取材。98年W杯フランス大会に出場した代表選手のインタビューをまとめた『6月の軌跡』(ミズノスポーツライター賞)、中田英寿のドキュメント『In his Times』、近著の『ゆだねて束ねる――ザッケローニの仕事』など著書多数。

増島みどりの記事

もっと見る